日本大百科全書(ニッポニカ) 「和蘭ばってん棒」の意味・わかりやすい解説
和蘭ばってん棒
おらんだばってんぼう
焼き菓子の一種で、広島名菓。1567年(永禄10)ポルトガル船が長崎に入港した際、中国から伝わった月餅(げっぺい)を棒状にこしらえたもの。浅野長晟(ながあきら)が広島に封ぜられた1619年(元和5)に月餅の仕方を会得した菓子職人が創作、南蛮ばてれん棒と名づけて売り出したのに始まる。小麦粉にザボンの皮、干しぶどう、ラッカセイ、クルミ、ゴマを入れて練り、これを皮としてアズキの漉し餡(こしあん)を棒状に巻き、こんがりと天火焼きする。衣に多彩な材料を練り込むので、衣と餡をなじませるのにかなりの年季が必要という。キリシタン禁制の江戸時代は、「ばてれん」の菓名をはばかって、おおっぴらにはつくれない受難の菓子でもあった。
[沢 史生]
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