家庭医学館 「唾液腺がん」の解説
だえきせんがん【唾液腺がん Salivary Gland Cancer】
唾液(つば)を分泌(ぶんぴつ)する唾液腺の中に、腫瘍(しゅよう)ができることがあります。
唾液腺腫瘍には、良性のものから悪性のものまで非常に多くの種類があります。悪性腫瘍の唾液腺がんは、耳下腺(じかせん)にもっとも多く発生し、ついで顎下腺(がくかせん)に多く発生します。
[症状]
通常、耳の下やあごの下にしこりができ、急速に腫(は)れてきます。以前からあった良性の腫瘍が、悪性化して急に大きくなることもあります。痛みや顔面神経のまひをともなう場合は、がんの可能性があります。
くびのリンパ節に転移がおこることもあります。
もし、これらの症状があれば、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)を受診してください。
[検査と診断]
超音波、MRI、CTなどの画像診断法を用いて検査を行ないます。症状や各種の画像所見から、良性、悪性が鑑別できます。最終的にがんの診断を確定するためには、細胞診を行なう必要があります。
[治療]
治療の第1選択は、がんの完全な摘出です。単に腫瘍を取り除くだけでなく、唾液腺や、ときには周囲の組織を含めた切除が必要な場合もあります。耳下腺がんでは、顔面神経を一緒に切除しなければならない場合も少なくありません。この場合には、くびや足の知覚神経を移植して、顔面神経を再建します。手術後に、放射線療法を行なう場合もあります。