啓する(読み)ケイスル

デジタル大辞泉 「啓する」の意味・読み・例文・類語

けい・する【啓する】

[動サ変][文]けい・す[サ変]
1 三后(太皇太后・皇太后・皇后)や東宮に申し上げる。言上ごんじょうする。→奏する
2 申し上げる。言上する。
「進退に迷うて案内を―・する所なり」〈平家・七〉
[類語]申し上げる・申す・奏する

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精選版 日本国語大辞典 「啓する」の意味・読み・例文・類語

けい‐・する【啓】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]けい・す 〘 他動詞 サ行変 〙
  2. ① 三宮(太皇太后・皇太后・皇后)、皇太子に申しあげる。貴人に言上する。天皇には「奏す」を用いる。
    1. [初出の実例]「五条の后(きさい)の宮より、内舎人を御使にて山々尋ねさせ給ひけり。〈略〉少将大徳うちなきて、〈略〉『かぎりなき雲ゐのよそに別るとも人を心におくらざらめやは、となむ申しつるとけいしたまへ』といひける」(出典:大和物語(947‐957頃)一六八)
  3. ② ( 特に、記録体など、漢文調の文章で ) 相手を敬って、申し上げる、言上するの意に用いる。
    1. [初出の実例]「他事追可レ令レ啓候」(出典:東寺百合文書‐ほ・(天承元年カ)(1131か)五月二六日・左大史小槻政重請文)

啓するの補助注記

「奏す」「啓す」は、帝・院・后・東宮といった限られた相手にのみ用いられるところから、絶対敬語といわれる。しかし、「啓す」は、往来物等では、単に貴人に対して申し上げるという意味で使用されており、また、「宇津保物語」では、「院」に対して申し上げる意味の用法が目立つ。当時、あるいは厳密な区別なしに用いられたものか。

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