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善派 ぜんぱ

世界大百科事典 第2版の解説

ぜんぱ【善派】

鎌倉初期から中期にかけて奈良を中心に造像活動を行った仏師の一派善円(生没年不詳),善慶(?‐1257)など善の一字を付した名の人物たちなのでこうよばれている。この一派は西大寺中興の叡尊と深い関係があったらしく,善円作の愛染明王像,善慶作の釈迦如来立像など西大寺の像は叡尊の発願で造立され,善慶の子善春(生没年不詳)は80歳の叡尊像(1280)を製作している。同じ奈良仏師として慶派につながる作風を示しながらも多少異なっており,藤原彫刻の名残ともいうべき風をも見せている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

善派
ぜんぱ

鎌倉時代の初期から中期にかけて奈良を中心に造像活動を行った仏師の一派。善円、善慶など名に善の字を付したのでこうよばれる。本来どんな系統をくむかは明らかでないが、西大寺を中興した叡尊(えいぞん)と深い関係があったようで、善円作愛染(あいぜん)明王坐像(ざぞう)、善慶作釈迦如来(しゃかにょらい)立像など西大寺の像は、叡尊の発願で造立され、善慶の子善春は80歳の叡尊像を制作している。同じ奈良仏師として運慶様に範をとりながらも多少異なった作風を示し、藤原彫刻の名残(なごり)ともいうべき穏やかな風も備えている。しかし、善派とよばれる仏師は同一系統に属するとはいえ、それぞれ固有の作風を備えており、善円は工芸的な手法に、善慶は神経の細やかな作風に、善春は肖像彫刻に妙をみせている。[佐藤昭夫]

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世界大百科事典内の善派の言及

【鎌倉時代美術】より

…弥勒信仰や釈迦崇拝の熱烈な思想が興福寺や東大寺の僧を中心に復活し,唐招提寺や西大寺をはじめ地方の同系統の寺院に伝播していった。これにともなう美術作品の担い手はおもに奈良地方に残留していた作家たちと見られ,彫刻では自らも敬虔な仏教者であったいわゆる善派の人たちが著名である。特に西大寺叡尊との関係が指摘され,同寺の愛染明王像(1247,善円作),清凉寺式釈迦像(1249,善慶作),叡尊像(1280,善春作)など,中・後期の代表作を生んでいる。…

※「善派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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