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藤原彫刻 ふじわらちょうこく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

藤原彫刻
ふじわらちょうこく

藤原時代,すなわち平安時代後期 (894~1192) の彫刻で,貞観彫刻に続く。藤原時代には,それまで受けた中国彫刻の影響を離れ,当時の貴族の好みに合った和様彫刻の完成をみた。森厳な個性をもつ貞観彫刻に続く 10世紀の彫刻は,なお前代の名残りをとどめたものが多いが,全体に量感を減じ,体躯の奥行がやや扁平になってくる。またそれに応じて衣文の彫り口も浅く穏やかなものに変る。醍醐寺の『薬師三尊像』や仁和寺の『薬師三尊像』などはこの期に属するもので,貞観彫刻の名残りをもつが,すでに顔の表情や体躯の線には微妙な変化がみられる。一方,天慶9 (946) 年作の京都,岩船寺の『阿弥陀如来像』は,もはや体躯の厚みを減じ,翻波式衣文 (ほんぱしきえもん) は残るがその彫り口は浅く,また顔の表情も明るいものになっている。 11世紀に入ると,東福寺同聚院の『不動明王像』や興福寺の『薬師如来像』のように,さらにこの平明さや優雅さが助長され,ついに藤原和様彫刻の完成者とまでいわれる仏師定朝の出現を迎える。平等院鳳凰堂の『阿弥陀如来像』は天喜1 (1053) 年定朝作の唯一の遺品であるが,その様式は和様彫刻としてまったく円熟していて「定朝様」と呼ばれ,当代以降一つの典型とされた。また定朝は従来の一木造 (いちぼくづくり) に対して寄木造という新しい技法を考案し,藤原時代の彫刻技法上大きな特色となった。一方この時代には各地で仏像が造られ,それぞれ地方様式をもつものが全国にわたって分布している。

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