嗚呼絵(読み)おこえ

百科事典マイペディア 「嗚呼絵」の意味・わかりやすい解説

嗚呼絵【おこえ】

平安時代以降盛んに行われた滑稽(こっけい)味のある題材風刺的に描いた戯画運動性のある主題白描で一筆画風に簡潔に表現したもの。《鳥獣戯画》の中の人物戯画はその例とされる。なお,柳田国男はヲコ(嗚滸)を人を笑わせ楽しませる文学として《今昔物語集その他に指摘し,ヲコが滑稽,馬鹿の意と変わるところに笑いの零落を見いだしている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「嗚呼絵」の意味・わかりやすい解説

嗚呼絵
おこえ

「ばかげたおどけ絵」の意味で,平安時代から鎌倉時代にかけて用いられた言葉。風刺や滑稽を目指した戯画の一種と考えられる。『今昔物語』に比叡山無動寺の僧義清が嗚呼絵の名手であったとの説話があり,これによれば嗚呼絵は線描本位の絵画であったらしい。また『古今著聞集』には鳥羽僧正覚猷に関する同様な説話が載り,嗚呼絵は画技のすぐれた僧侶間で発達したらしく,『鳥獣人物戯画』中の第3,4巻の人物戯画や,放屁合戦などを描いた愛媛,太山寺蔵の『ざれ絵』 (模本) は,この系統をひくものと考えられる。

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