日本大百科全書(ニッポニカ) 「嘉永明治年間録」の意味・わかりやすい解説
嘉永明治年間録
かえいめいじねんかんろく
吉野真保編。1852年(嘉永5)から68年(明治1)までの編年体の史料集。著者の序(明治2年2月)によると『泰平(たいへい)年表』の後を受けて編纂(へんさん)したという。収録の史料は幕末維新17年間の公私の文書で、朝廷や幕府に関するものをはじめ、政治、経済、外交、軍事から巷間(こうかん)のできごと、雑説に至るまで、1年1巻に年月を追って編集し、17巻よりなる。編者は武蔵(むさし)国埼玉郡に生まれ、多年にわたり、本書編纂のため昼夜を分かたず成稿に努め、明治3年、51歳で没した。この編年史料集の特色は、巷間のできごと、雑説類の史料を収めたところにあり、類書にみられないものもままある。成稿は69年だが、71年勅命により浄書献上。しかし、73年の皇居炎上で焼失したという。遺稿は83年に刊行され、子息の真幹の跋文(ばつぶん)(1878)を付している。1968年(昭和43)巌南堂(がんなんどう)書店より復刻、解題は布施弥平治(ふせやへいじ)。
[田中 彰]