アルムクビスト(読み)あるむくびすと(英語表記)Carl Jonas Love Almqvist

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルムクビスト」の意味・わかりやすい解説

アルムクビスト
あるむくびすと
Carl Jonas Love Almqvist
(1793―1866)

スウェーデンの作家。11月28日ストックホルムで生まれる。ウプサラ大学卒業後公務員、2年間の農民生活ののち、作家活動に入る。怪奇、奔放な空想に満ちた小説『アモリーナ』(1823年完成。書き改めて1839年出版)をはじめ、多作、多彩な彼は『野ばらの書』(1833~1851)にみられるように、詩、劇、評論健筆を振るい、革新的なロマン主義運動の旗手と目された。グスタフ3世王朝の舞姫を配した華麗な小説『女王の宝石』(1834)ののちは、一転して、ルソー風の「自然に帰れ」の思潮を基盤として、素朴な農民生活に取材した『会堂』(1838)ほかの写実的な作品を書いた。『それでよい』(1839)には、結婚は愛と理解に基づく個人の問題で、国家、教会が介入する余地はないとの主張を盛って、周囲のひんしゅくを買った。そのうえ文書偽造、毒殺未遂の容疑で1851年アメリカへ逃れ、各地を放浪ののち、ヨーロッパへの帰途、1866年9月26日、ドイツのブレーメン死去。彼の作風変貌(へんぼう)の激しさは、彼の生きた時代一種過渡期であったためでもあろうが、なによりも彼自身矛盾に満ちた振幅の激しい性格の持ち主であったことによる。その生涯はスウェーデン文学史上もっとも謎(なぞ)に満ちたものとされている。

[田中三千夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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