ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四元ベクトル」の意味・わかりやすい解説
四元ベクトル
よんげんベクトル
four-vector
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相対性理論においては時間は絶対的な意味をもたず,空間座標xi(x1=x,x2=y,x3=z。x2は2番目のx座標という意味で,xの2乗ではない)と対等な座標であり,x0=ctと書かれる(cは光速度,tは時間)。三次元的な空間ベクトルxiにx0を加えて,四次元的なベクトルxμ(μ=0,1,2,3)を考え,略して四元ベクトルと呼ぶ。ローレンツ変換は,この四元ベクトルに対する一種の回転と考えることができる。四元ベクトルのもう一つの例としては,運動量の3成分piに,エネルギーEをcで割ったものp0=E/cを第4成分として加えたpμがある。これにローレンツ変換を施すと,運動量とエネルギーが(空間座標と時間が移り変わるように)互いに移り変わることがわかる。質量とエネルギーに関するアインシュタインの関係式は,pμが四元ベクトルであることから導かれる。
執筆者:藤井 保憲
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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