国延保(読み)くにのぶほ

日本歴史地名大系 「国延保」の解説

国延保
くにのぶほ

阿弥陀あみだ川西岸、日本海に面する国信くにのぶを遺称地とし、周辺の末吉すえよし末長すえながを含む地域に比定される。正応五年(一二九二)八月二四日の僧覚雅置文案(醍醐寺文書)に山城醍醐寺蓮蔵れんぞう院領として「伯耆国々延保」とみえ、師資相承の同院領などを一期の間覚雅から静運僧都に譲り、そののち運雅禅師に伝えるべきことが定められている。しかし運雅が他門の親玄僧正のもとへ移り、師である憲淳阿闍梨(前出静運僧都か)に向背したため、憲淳は覚雅の置文に従って運雅への譲与を取止め、運雅もほどなく死去した。ところが運雅より譲られたと称する親雅禅師の代官が当保などを押領。元亨二年(一三二二)四月、憲淳の弟子隆舜は覚雅の置文などの証文を添えて親雅らの非分を訴え、自らが憲淳の正統な後継者であることを主張した(「権少僧都隆舜申状案」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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