日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
国連アジア極東犯罪防止研修所
こくれんあじあきょくとうはんざいぼうしけんしゅうじょ
United Nations Asia and Far East Institute for the Prevention of Crime and the Treatment of Offenders
国際連合と日本国政府との間の協定に基づいて設置された研修・調査・研究のための機関。略称で「アジ研」または「UNAFEI(ユナフェイ)」とよばれる。オーストリアのウィーンにある国連薬物・犯罪事務所United Nations Office on Drugs and Crime(UNODC)を中核として形づくられている国連犯罪防止・刑事司法プログラム・ネットワーク機関Institutes of the United Nations Crime Prevention and Criminal Justice Programme Network(PNI)を構成する国連の地域研修所である。1961年(昭和36)に「犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本国に設置することに関する国際連合と日本国政府との間の協定」(昭和36年条約第4号)が結ばれ、1962年に設立された。当初は国連と日本国政府が共同で運営していたが、1970年からは日本国政府が単独で運営している。日本国政府においては、法務省法務総合研究所国際連合研修協力部が運営に携わっている。所長人事は国連の承認による。設立以来、東京都府中市に所在していたが、2017年(平成29)に東京都昭島(あきしま)市の国際法務総合センター内へ移転した。
業務として、国連での犯罪防止・刑事司法分野における重要な関心事項に配意しつつ、開発途上国の刑事司法実務家等を対象としたさまざまな研修活動(国際研修、地域研修、国別研修など)を実施している。さらに、犯罪防止・犯罪者処遇に関する調査および研究を遂行するとともに、活動内容の出版事業も行っている。
また毎年、国連薬物・犯罪事務所に年次活動報告を提出するとともに、ウィーンで開催される国連犯罪防止・刑事司法委員会United Nations Commission on Crime Prevention and Criminal Justice(CCPCJ、通称「コミッション」)に出席して、研修等の活動や調査・研究成果に関する報告を行っている。加えて、5年に1回開催される国連犯罪防止・刑事司法会議United Nations Congress on Crime Prevention and Criminal Justice(通称「コングレス」)でもワークショップの企画・運営に携わるなどしている。
[小西暁和 2020年3月18日]