略称IISS。1958年,アメリカのフォード財団からの資金援助を受けてロンドンに設立された非営利の民間戦略研究機関。法的にはイギリスの〈有限責任の会社〉とされているため,税法上の必要から管理はイギリス人だけからなる理事会が行うが,実際の運営や研究活動は国際諮問会議のアドバイスをえて所長の責任で実施されている。所長には,初代を除き歴代外国人が就任している。その活動は近代戦争の戦略問題を研究することにあり,各国の軍事問題の権威者が参加して開かれる国際顧問会議や,各国の専門家の研究成果を発表する年次大会がある。毎年出ている年報《ミリタリー・バランスMilitary Balance》と《ストラティジック・サーベイStrategic Survey》,随時出る《アデルフィ・ペーパーズAdelphi Papers》研究シリーズは,国際安全保障,核戦略,軍備管理,その他国防・軍事問題の分野における世界の最高・最先端のものを報告するもので,その発表内容は世界の動きに大きな影響をもつ。
執筆者:岩島 久夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
略称IISS。核時代の国際安全保障問題を研究する目的で、1958年ロンドンに設立された民間の研究機関。会員制をとっているのが特徴で、60を超す世界各国から順繰りに研究員が招かれている。個別研究の成果は『アデルフィ・ペーパーズ』Adelphi Papersとよばれるパンフレットで随時発表されるほか、隔月刊の機関誌『サバイバル』Survivalにも掲載される。情報提供も重要な活動の一つで、毎年発表される『ミリタリー・バランス』Military Balanceと『戦略概観』Strategic Surveyは、世界の軍備および軍事情勢に関するもっとも権威ある資料のなかに数えられている。そのほか年次大会および各種のセミナーを主催し、各国の安全保障問題専門家に意見交換の場を提供している。
[木村修三]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…そこでは軍拡のメカニズム,兵器移転の構造,非武装抵抗といった具体的なテーマの研究のほかに,ドイツ本来の学問的伝統を基盤に平和研究の理論的基礎の構築が注目される。さらに戦争の原因と平和の諸条件を探究するフランス,ベルギー,オランダの〈戦争学研究所〉や,イギリスの〈国際戦略研究所〉なども独自の研究に従事している。 ところで,平和研究は欧米に限られるわけではない。…
※「国際戦略研究所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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