軍備管理(読み)グンビカンリ(英語表記)arms control

翻訳|arms control

デジタル大辞泉 「軍備管理」の意味・読み・例文・類語

ぐんび‐かんり〔‐クワンリ〕【軍備管理】

戦争勃発拡大を防ぐために行われる軍備規制抑制。軍備の縮小に限らず、部分的な軍備拡張措置も含まれる。

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精選版 日本国語大辞典 「軍備管理」の意味・読み・例文・類語

ぐんび‐かんり‥クヮンリ【軍備管理】

  1. 〘 名詞 〙 戦争の勃発や拡大を防ぐために行なわれる軍備の規制・抑制。

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改訂新版 世界大百科事典 「軍備管理」の意味・わかりやすい解説

軍備管理 (ぐんびかんり)
arms control

軍備の開発,実験,生産,配備,使用などについて,国際的に合意された一定の規制を加えること。1960年代におもにアメリカで用いられるようになった核抑止理論である。この考えの背景には,米ソの基本的対立前提とした,軍備の削減は不可能であるとの現実的認識がある。すなわち,軍備を肯定したうえで,互いの軍備をチェックすることによって,奇襲攻撃の阻止,偶発攻撃の防止を図り,理性的判断をし,戦争を回避しようとするものである。このためには相互にコミュニケーションを密にすることが不可欠になる。63年に開設されたホワイト・ハウスとクレムリン間の直通回線(ホットライン)はその好例である。また,この理論は部分的核実験停止条約の実現をもたらした。しかし他方では,軍拡を正当化することにもなった。
軍縮
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軍備管理」の意味・わかりやすい解説

軍備管理
ぐんびかんり
arms control

軍備を規制,制限,凍結,削減するなど管理することによって無制限な軍拡競争を抑制し,国際社会の安定を維持するためにとられる措置。軍備削減を第一義とする軍縮と区別される。第2次世界大戦後における核兵器,化学・生物兵器ミサイルなど大量破壊兵器の出現を背景に,1960年代にアメリカを中心にして,軍備の安定的均衡の追求によって世界の平和と安全の維持をはかろうとする考え方が生れた。こうした考えに基づくおもな軍備管理条約には,南極条約,生物兵器毒素兵器禁止条約,南太平洋非核地帯条約などの多数国間条約,米ソ間の地下核実験制限条約,戦略兵器削減条約などの二国間条約がある。これらの措置は戦力の数や配備を規制する,いわば構造的軍備管理 structual arms controlであるのに対して,信頼醸成措置オープンスカイズ条約などのように戦力構成はそのままにして動きや意図を規制する,いわば運用的軍備管理 operational arms controlの考え方がある。

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知恵蔵 「軍備管理」の解説

軍備管理

軍備の開発、製造、実験、移動、配備、使用、及び危機回避措置や信頼醸成措置についての国際的に合意された規制と管理。部分的核実験禁止条約、核不拡散条約、米ソホットライン設置など、1980年代半ば以前の協定の大部分は軍備管理に属する。軍備管理は、軍縮と似た面があり混同される。しかしこの言葉が、米国などで60年代以降に広く用いられたのは、(1)米ソの体制対立と軍事的対峙は変わらないことを前提に、互いに軍備を部分的に規制すること、(2)軍事大国のみが世界秩序を維持・管理する資格と軍備をもつことを前提に、核不拡散などで他の諸国の軍備を抑制することは、大国共通の利益だという考えに基づく。このように軍備管理は、軍事大国の軍備の大幅削減は不可能、不適当との判断に立ち、軍拡を排除しない場合が少なくない。冷戦後は、大量破壊兵器の拡散防止、拡散後の対処などが焦点。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「軍備管理」の意味・わかりやすい解説

軍備管理
ぐんびかんり

軍備規制

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世界大百科事典(旧版)内の軍備管理の言及

【軍縮】より

…したがって〈軍備規制〉という観念は,一方で軍備競争防止のための規制を念頭におきながら,他方で軍備が少なすぎることのないような規制をも含意している。
[軍備管理]
 これに一見類似した観念として,1960年代からアメリカを中心に広く用いられるようになった〈軍備管理arms control〉がある。国連憲章でいう〈軍備規制〉は,五大国とくに米ソの基本的一致が続くという前提に立ち,そうした協調関係にある米ソが軍事的に強力であることが世界平和の維持に必要だという考えに基づいていた。…

【安全保障】より

… そこで,安全保障の概念を拡大して,核抑止をとりまく状況の打開が求められるようになった。パルメ委員会による〈共通の安全保障〉概念が唱道され,安全保障の達成には,平和な世界をつくるための軍備管理をふくむ外交的努力が不可欠の要件となった。しかしそのためには,外交的努力の意図とそのための信頼醸成措置を基礎にすえた能力とが確立していなければならない。…

【軍縮】より

…したがって〈軍備規制〉という観念は,一方で軍備競争防止のための規制を念頭におきながら,他方で軍備が少なすぎることのないような規制をも含意している。
[軍備管理]
 これに一見類似した観念として,1960年代からアメリカを中心に広く用いられるようになった〈軍備管理arms control〉がある。国連憲章でいう〈軍備規制〉は,五大国とくに米ソの基本的一致が続くという前提に立ち,そうした協調関係にある米ソが軍事的に強力であることが世界平和の維持に必要だという考えに基づいていた。…

※「軍備管理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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