国際監査基準(読み)こくさいかんさきじゅん(その他表記)international standards on auditing

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際監査基準」の意味・わかりやすい解説

国際監査基準
こくさいかんさきじゅん
international standards on auditing

国際的に統一された監査基準。略称ISA。ISAは、世界の会計士団体により構成される国際機関である国際会計士連盟(International Federation of Accountants:IFAC)によって作成、公表されている。IFACは、1977年ニューヨークにおいて設立され、2020年11月時点で135か国、180の加盟団体を有し、世界300万人以上の監査業界、企業内、学会における会計士が加盟している。ISAのパーパス(目的)は、会員組織とともに、グローバルな会計専門職の適用性、評判そして価値を促進することにより、公共利益に貢献することである。

 ISAは、IFACのなかに設置されている国際監査・保証基準審議会(International Auditing and Assurance Standards Board:IAASB)で策定される。2020年版ISA(2020 Handbook of International Quality Control, Auditing, Review, Other Assurance, and Related Services Pronouncements)の内容は、品質管理基準(International Standard on Quality Control)、伝統的財務諸表監査基準(Audit of Financial Statements)、レビュー(International Standard on Review Engagements)、保証業務(International Standard on Assurance Engagements)に分かれており、伝統的財務諸表監査基準は、一般原則と責任、リスク評価とリスク評価対応、監査証拠、他者の作業の利用(他のグループ監査や他分野の専門家などが行った業務を利用すること)、監査結果と報告などが規定されている。この2020年版ISAは、Volume ⅠとVolume Ⅱに分かれていて、IFACのホームページから無料でダウンロードできる。

 日本の監査基準は、企業会計審議会金融庁)が設定する監査基準と日本公認会計士協会が公表する監査基準委員会報告書等をあわせて「一般に公正妥当と認められる監査の基準」とされており、ISAの内容をすべて取り込んだものとなっている。日本の監査基準も継続的に見直しが実施され、ISAの改訂との整合性を維持し、公認会計士監査の質の向上を図っている。

[中村義人 2022年11月17日]

『内藤文雄・松本祥尚・林隆敏編著『国際監査基準の完全解説』(2010・中央経済社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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