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国際財務報告基準 コクサイザイムホウコクキジュン

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デジタル大辞泉の解説

こくさい‐ざいむほうこくきじゅん【国際財務報告基準】

International Financial Reporting Standards》⇒アイ‐エフ‐アール‐エス(IFRS)

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M&A用語集の解説

国際財務報告基準

国際財務報告基準(通称IFRSという)は、IASB国際会計基準審議会)によって設定される会計基準のことをいうが、広義では、以下を含めて、総称として「IFRSs」という。?IFRIC(IFRICが作成する解釈指針)?IAS国際会計基準。IASBの前身である国際会計基準委員会IASCが作成したもの)?SIC(IFRICの前身であるSICが作成する解釈指針)IASCの設立は1973年。2001年にIASBに組織変更された後、IASBはその目標として「急速に統合する世界の資本市場に、共通の財務報告用語を提供する(to provide the world's rapidly integrating capital markets with a common language for financial reporting)」ことを掲げている。そして昨近、経済単位が国境を超えるグローバル化が急速に進展する中で、経済インフラとしての会計基準のグローバル化を求める声の強まりとともに、世界各国ではIFRSの採用を表明する国が急速に増加。現在、世界経済におけるIFRSの影響力は注目を浴びている状況にある。また、IFRSの呼び名としては、一般的に「アイファース」「イファース」「アイ・エフ・アール・エス」が用いられる。なお、文中の英文略称の正式名称は以下のとおり。IASB :International Accounting Standards BoardIFRIC:International Financial Reporting Interpretations CommitteeIASC :International Accounting Standards CommitteeIAS :International Accounting Standards

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国際財務報告基準
こくさいざいむほうこくきじゅん
International Financial Reporting Standards

国際会計基準審議会(IASB:International Accounting Standards Board)が設定する会計基準を中心とする国際的な会計基準書類の総称。略称IFRS。[水口 剛]

目的

従来、会計基準は各国で独自に策定されてきた。国によって経済制度や取引慣行に違いがある場合、企業の経済実態をより適切に表す会計基準も国によって異なるという考え方もある。しかし、その一方で、企業活動の国際化、多国籍企業の出現、資本自由化、資本市場の国際化などに伴い、どの国の投資家にとっても理解しやすく、違う国の企業間でも比較可能性の高い会計基準の必要性が高まった。そこで単一で高品質な国際基準を策定することを目的に、会計基準の国際的な調和に向けた努力がなされてきた。その中心にあるのがIFRSである。
 IASBの前身である国際会計基準委員会(IASC:International Accounting Standards Committee)は、アメリカ、西ドイツ(当時)、日本など9か国の会計士団体を設立会員として1973年6月にロンドンで設立され、2001年まで種々の国際会計基準(IAS)を策定してきた。2001年にIASCはIASBに改組され、それまでのIASはIFRSの一部として継承された。
 2015年時点では、IASBはIFRS財団に属する独立の基準設定機関と位置づけられている。IFRS財団は各国からの拠出を中心に運営され、IASBの活動を資金的に支え、その活動を監督するとともに、各国がIFRSを受け入れる際の支援などを行っている。IFRS財団の評議員はアジア・オセアニア6名、ヨーロッパ6名、北アメリカ6名、アフリカ1名、南アメリカ1名、その他地域2名の22名で構成され、評議員会がIASBの委員を指名する。IASBの委員は、定款上は16名まで増員可能であるが、2015年時点では14名が指名されている。IFRS財団には、IASBのほかに、基準の解釈指針を策定するために14名の委員からなるIFRS解釈指針委員会(IFRS Interpretations Committee)が置かれている。[水口 剛]

基準の内容

IFRSは複数の会計基準書類の総称である。具体的には「IFRSへの序文」「財務報告の概念フレームワーク」の二つの文書に続けて、「国際財務報告基準の初度適用(IFRS第1号)」「株式に基づく報酬(IFRS第2号)」「企業結合(IFRS第3号)」など、項目ごとの国際財務報告基準書(International Financial Reporting Standard)が2015年時点で第15号まで公表されている。また、IASBへの改組以前にIASとして公表された第41号までの基準書のうち、「財務諸表の表示(IAS第1号)」「棚卸資産(IAS第2号)」「キャッシュ・フロー計算書(IAS第7号)」など、28の基準書がIFRSの一部として継承されている。加えて、IFRS解釈指針委員会が順次解釈指針を公表しており、IASBへの改組以前に解釈指針委員会(SIC:Standing Interpretations Committee)が公表した解釈指針のうちの一部も継承されている。これら一連の基準書類の全体をIFRSとよぶのである。
 このうち「財務報告の概念フレームワーク」のなかで、まず財務報告の目的を「現在および将来の投資家、融資者、その他の資金提供者が投融資の意思決定をするために有用な情報を提供することである」と規定している。現在および将来の投資家や融資者の意思決定は投融資から得られると彼らが期待する利益に依存する。したがって必要とされるのは組織の将来のキャッシュ・フローの可能性を評価するのに役だつ情報であるというのが、IASBの基本的な立場である。このことを前提に、個々の具体的な基準が策定されている。[水口 剛]

各国の受入れ状況

IFRS財団は、各国がIFRSを自国の会計基準として採択することを目ざしており、これをアドプションとよぶ。ヨーロッパ連合(EU)は市場統合の促進に向けて、域内での財務報告を統一するためにIFRSを採択することを決め、2003年の会計法現代化指令によって2005年からの実施に向けた国内法の整備を加盟国に求めた。
 これに対して日本やアメリカのように長年にわたって独自の会計基準を整備してきた国では、会計基準を変更することによる国内企業への影響やコストも大きく、全面的に会計基準を入れ替えることには抵抗も大きい。また自国の経済制度や取引慣行に照らしてIFRSがそぐわない面がある可能性も考えられる。そこで、IASBとアメリカは当初、アメリカの会計基準を維持しながらIFRSとの実質的な差異を縮小していくという方向をとった。これをコンバージェンスという。そして2002年にアメリカの会計基準設定機関である財務会計基準審議会(FASB:Financial Accounting Standards Board)とIASBが、双方の会計基準に互換性をもたせるための共同プロジェクトを開始することで合意した。この合意はFASBの所在地であるコネティカット州ノーウォークの名前をとってノーウォーク合意とよばれる。
 その後2007年にアメリカの証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)は、IFRSに準拠している外国企業がアメリカ市場に上場する場合にアメリカ会計基準との差異の調整表の作成を不要とする規則の改正を公表した。さらにアメリカ企業にIFRSの選択適用を認める可能性について意見を求めるリリースを公表した。2015年時点でアメリカはIFRSのアドプションに至っていないが、その方向に一歩進み始めたといえる。
 IFRS財団はG20(主要20か国・地域)諸国を含む140か国・地域を対象にIFRSの受入れ状況の調査を行っている。それによると、2015年時点で116か国・地域がIFRSをすべてまたはほとんどの国内企業に適用しており、アドプションしているとされる。また、それ以外の24か国のうち、日本を含む12か国がIFRSの任意適用を認めている。すなわちそれらの国ではIFRSは強制適用ではないが、一定の要件を満たした企業が自国基準にかえてIFRSを採用することを認めている。[水口 剛]

日本の対応

EUが2005年からEU域内上場企業にIFRSの適用を義務づけるとともに、2009年以降は域外企業がEUで上場する場合にもIFRSまたはこれと同等の基準の適用を義務づけるとしたことから、日本の会計基準がIFRSと同等と認められるかどうかが重要な意味をもつこととなった。そこで日本の会計基準設定機関である企業会計基準委員会(ASBJ:Accounting Standards Board of Japan)は、2005年にヨーロッパ証券規制当局委員会(CESR:Committee of European Securities Regulators)が公表した同等性評価にかかわる差異項目を対象にコンバージェンスに取り組んできた。2007年(平成19)にはIASBとASBJとの間でコンバージェンスの具体的なスケジュールを定めた東京合意が交わされた。これらの取組みの結果、2008年にヨーロッパ委員会(EC)はアメリカ会計基準とともに日本の会計基準もIFRSと同等であるとの最終決定を行った。
 一方、金融庁の諮問機関である企業会計審議会は2009年に「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を公表し、今後もコンバージェンスの努力を継続することが必要との姿勢を示す一方で、IFRSの国際的な広まりを踏まえ、日本企業にも一定の要件を満たす場合にはIFRSに基づく財務報告を容認する任意適用を認めるよう提言した。これを受けて連結財務諸表規則が改正され、2010年3月期から任意適用が開始された。さらに企業会計審議会は2013年に「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」を公表し、IFRSの任意適用の積上げを図ることが重要であるとして、要件の緩和を提言した。金融庁が2015年に公表した「IFRS適用レポート」の調査によれば、実際にIFRSを適用している企業数は2015年3月時点で75社であった。
 日本においてIFRSの強制適用、すなわちアドプションを行うかどうかについては結論が出ていないが、当面、任意適用を積み上げることでIFRS策定への発言権を確保していくことが目ざされている。IFRSの内容については批判もあるが、むしろIFRS策定に積極的にかかわることで単一で高品質な国際基準の策定に貢献していくというのが日本の当面の方針である。[水口 剛]
『企業会計審議会「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」(2009) ▽田中弘「国際会計基準(IFRS)と日本の国際会計戦略」(『商経論叢』第45巻 第2・3号合併号所収・2010・神奈川大学経済学会) ▽企業会計審議会「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」(2013) ▽IFRS財団編、企業会計基準委員会・公益財団法人財務会計基準機構監訳『国際財務報告基準(IFRS)2015』(2015・中央経済社)』

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