日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際開発金融クラブ」の意味・わかりやすい解説
国際開発金融クラブ
こくさいかいはつきんゆうくらぶ
International Development Finance Club
ドイツ復興金融公庫(KfW)グループのKfW開発銀行が主導して、2011年9月に設立した開発金融機関のネットワーク。略称はIDFC。日本の国際協力機構(JICA(ジャイカ))を含む先進国の二国間開発金融機関、新興国の国内開発銀行、地域開発金融機関、計27機関が加盟している(2022年8月末現在)。加盟機関の総資産は4兆ドル、事業予算総額は年間6000億ドル、うち気候変動関係の事業予算総額は1500億ドルに上る。
加盟機関は協力して持続可能な開発目標(SDGs)と気候変動に関するパリ協定の実施に向けた融資を実行する。そのために、(1)加盟機関間の連携を通じた国連などを舞台とする国際的な議論への貢献、(2)加盟機関および非加盟機関の連携機会の発掘・促進、(3)加盟機関の経験や事例の共有、を主目的としている。
おもな活動は、(1)全加盟機関が参加する年次総会、議長・副議長を務める12機関が参加する運営委員会(年2回)、各加盟機関の代表を支援する担当者が参加するシェルパ会合(年2回)などの定例会合の開催、(2)共通の関心テーマに関する作業部会を通じた報告書の作成、経験の共有と発信、(3)国際会議などでの登壇・サイドイベントの開催、となっている。SDGsのなかでも、加盟機関の共通の関心事項である気候変動への対応と持続可能な都市開発を重点的取り組みテーマとしている。とくに、気候変動対応資金については、発足以来、加盟機関の融資実績を取りまとめた報告書(IDFC Green Finance Mapping Report)を毎年公表している。また、世界銀行やアジア開発銀行などの国際開発金融機関とともに、2015年に「気候変動資金トラッキングのための共通原則」を緩和策と適応策それぞれについて策定し、気候変動対応融資の計測手法の統一と透明性の向上に貢献している。
[中川淳司 2022年10月20日]