2015年に採択され、16年に発効した温暖化対策の国際枠組み。産業革命前からの気温上昇を2度、できれば1・5度に収めるため、21世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目標に掲げる。日本は30年度に13年度比で46%削減することを当面の目標としている。
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京都議定書に続く温暖化対策のための新たな国際枠組み。2015年12月にフランスのパリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)において採択され、2016年11月に発効した。2020年末に第二約束期間が終了した京都議定書にかわり、2021年からパリ協定の下の削減義務などが施行された。
パリ協定は、世界の平均気温の上昇を2度以内に抑えるという目標に加えて1.5度という努力目標も設定し、その目標に向けた温室効果ガスの排出削減行動をすべての国に義務づけている。各国は、科学性に基づいて自国の削減目標を設定、提出し、5年ごとに更新、また共通かつ柔軟な方法でその実施状況を報告し、評価を受けなければならない。なお、先進国には、排出削減の率先行動とともに、資金および技術面での開発途上国支援が求められている。
各国の目標達成に際しては、共同実施、削減量の国際移転、森林による吸収量の算入などが認められている。とくに、REDD+(レッドプラス)(開発途上国において、森林の減少・劣化を防止して温室効果ガスの排出量を削減することに加えて、森林保全や植林を推進して炭素貯蔵量を増加させること)が重視されており、成果に基づく支払い方式が推奨されている。
他方で、適応(上記の削減や抑制をしても生じてしまう気候変動による悪影響への対策)については、カンクン適応枠組み(2010年12月にメキシコのカンクンで開催の国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議〈COP16〉で採択されたカンクン合意によって設立された)に基づく行動、国別計画の策定、また、気候変動による損失・被害に関するワルシャワ国際メカニズム(2014年発足)の活用のほか、パリ協定では先進国による資金提供とともに開発途上国にも自主的な資金提供、関連技術の開発・移転の促進などが求められている。そのほか、遵守委員会の設置、2023年から5年ごとの目標達成評価なども定められている。
なお、アメリカはパリ協定から離脱していたが2021年はじめに復帰し、また、ほかの国々も自国の削減目標の引上げに努めている。日本も、2020年(令和2)10月に2050年度目標を実質ゼロに定めるとともに、2021年4月には、2030年度目標を2013年度比でそれまでの26%から46%へと引き上げた。
[磯崎博司 2021年9月17日]
1954年10月23日、パリにおいてベルギー、西ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダおよびイギリスの間で結ばれた協定。第二次世界大戦後の東西対立の激化に伴い、アメリカなどは西ドイツの再軍備を強く望み、西側に組み入れることを願った。しかし、西ドイツの台頭を恐れるフランス政府は、西ドイツの軍事力のコントロールを図ってヨーロッパ防衛共同体(EDC)を設けようとしたが、皮肉なことに自国の議会がこれを拒否したため失敗に終わった。その直後、この事態を収拾するためにイギリスの首唱によってパリ会議が開かれ、パリ協定が締結された。その内容は、西ヨーロッパ連合(WEU)の創設、西ドイツの主権回復と同連合下での再軍備、西ドイツおよびイタリアの北大西洋条約機構(NATO(ナトー))への加盟などであった。この協定は1955年5月に発効した。
同協定により設立されたWEUは拡大を続けたが、マーストリヒト条約の改正、とりわけリスボン条約により共通外交安全保障政策が強化されたのに伴い、同連合の存在意義が希薄になり、パリ協定は2011年7月末に失効することとなった。
[岡村 堯 2016年11月18日]
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(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
ヨーロッパ防衛共同体(EDC)条約がフランス議会の批准拒否で挫折したあと,イギリス外相イーデンの構想にもとづいてブリュッセル条約を修正,強化したヨーロッパの軍事協力のための協定。1954年10月末パリで調印をみた。この協定によって,英米仏による西ドイツの主権回復,ドイツ,イタリアの西欧同盟加入(西ドイツの再軍備を承認することになる),西ドイツのNATO(ナトー)加盟などが承認された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
(2015-12-15)
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…72年12月最後の軍事的圧力として米空軍によるハノイ,ハイフォン地区盲爆が試みられたが,これも国際世論の猛反発をかった。こうして73年1月米軍撤退を主内容とするパリ協定が調印された。以後米軍の火力援助を失った南ベトナム軍の劣勢は免れず,75年3月の西部要衝バンメトートの陥落を機に,南ベトナム軍内部の大崩壊が始まった。…
※「パリ協定」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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