日本大百科全書(ニッポニカ) 「地球外知的生命体探査」の意味・わかりやすい解説
地球外知的生命体探査
ちきゅうがいちてきせいめいたいたんさ
地球外知的生命体(宇宙人)を探す活動。いわゆる宇宙人探し。英語表記search for extra-terrestrial intelligenceの頭文字を並べてSETI(セチ)と略称される。1959年のコッコーニGiuseppe Cocconi(1914―2008)とモリソンPhilip Morrison(1915―2005)が「星間交信の探索」という論文で宇宙人同士が宇宙によくある中性水素原子の波長21センチメートルの電波を使った通信をしている可能性とその検出法を提案したのが始まりである。これを受けてドレイクの方程式で有名なドレイクFrank Donald Drake(1930―2022)らが1960年、アメリカの26メートル電波望遠鏡を使ったオズマ計画を実施した。この計画では太陽近傍の太陽によく似た二つの恒星(エリダヌス座ε(イプシロン)星、くじら座τ(タウ)星)に電波望遠鏡を向けて波長21センチメートルの電波を受信したが、有意な信号を得ることはできなかった。その後セーガンにより1977年にプエルトリコのアレシボ天文台の300メートル電波望遠鏡(1963~2020年稼働)から2万5100光年先のM13へメッセージが送信された(ただM13の宇宙人がメッセージを受けてすぐ返事を送っても地球に到着するのは往復で約5万年後になる)。1977年に打ち上げられた惑星探査機ボイジャーには地球の音や映像を収めたレコード盤が積まれた(2022年時点では、ボイジャーは太陽系外を飛行中。将来宇宙人に拾われ解読されることが期待されている)。1999年から始まり2020年に休止したセチ・アット・ホーム(SETI@home)プロジェクトは、アレシボ電波望遠鏡で受信した電波信号の解析を、一般のボランティアのパソコンの空時間を使って行う公開分散処理コンピューティングの先駆けとなった。アメリカのカリフォルニアにはSETI協会によるSETI専門電波望遠鏡がある。
[編集部 2023年2月16日]