日本大百科全書(ニッポニカ) 「堂本尚郎」の意味・わかりやすい解説
堂本尚郎
どうもとひさお
(1928―2013)
洋画家。京都市に生まれる。日本画家堂本印象(いんしょう)の甥(おい)。1952年(昭和27)京都市立美術専門学校(現京都市立芸術大学)研究科(日本画)を修了。日展で白寿賞を二度受賞するなどの実績をもつが、洋画に転じ、1955年渡仏。パリに住み、アンフォルメル運動に参加して、激しくダイナミックな作品を制作し、1957年パリのスタドラー画廊で初個展以後、欧米各地で発表活動を行う。1958年パリ国立近代美術館の外国人青年作家展でグランプリ、1960年現代日本美術展で東京国立近代美術館賞、1963年サン・マリノ・ビエンナーレ展で金賞、1964年ベネチア・ビエンナーレ展でアルチュール・レイワ賞を受賞するなど、国際的に高い評価を受ける。1968年から東京に住み、1979年パリ市立近代美術館で個展を開催。作風は1960年代前半から平面性を強め、「連続の溶解」シリーズに着手、1960年代後半には油彩からアクリル絵具に移り、円の配列による「連鎖反応」シリーズを制作、さらに「宇宙」の連作に移るなど、日本人の感性と美意識を生かした抽象作風の追求を続けた。1983年フランス政府より芸術文化勲章、1996年(平成8)にはレジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を贈られる。2007年文化功労者。
[小倉忠夫・柳沢秀行]