化学辞典 第2版 「塩化タリウム」の解説
塩化タリウム
エンカタリウム
thallium chloride
【Ⅰ】塩化タリウム(Ⅰ):TlCl(239.84).単に塩化タリウムともいう.タリウム(Ⅰ)化合物の水溶液に塩酸または塩化アルカリを加えると無色の結晶として得られる.等軸晶系.塩化セシウム型構造.融点430 ℃,沸点720 ℃.密度7.00 g cm-3.水に難溶,エタノール,アセトンに不溶.水素気流中で還元すると金属タリウムを生じる.低温で蛍光を発するので放射線検出器に,また,赤外線をよく通すのでプリズムとして用いられる.また塩素化反応の触媒としても用いられる.201TlClは診断用放射性薬剤として用いられる.有毒.[CAS 7791-12-0]【Ⅱ】塩化タリウム(Ⅲ):TlCl3(310.74).三塩化タリウムともいう.塩化タリウム(Ⅰ)の塩酸水溶液に塩素を通じると四水和物が得られる.四水和物を濃硫酸で脱水すると無水物となる.無水物は吸湿性が大きく,水に易溶,エタノール,エーテルに可溶.融点250 ℃.水により加水分解して茶褐色の酸化タリウム(Ⅲ)となる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報