填まる（読み）はまる

精選版 日本国語大辞典

はま・る【填・嵌】

1. 〘 自動詞 ラ行五（四） 〙
2. ① ぴったりと合ってはいる。ちょうどうまくはいる。〔観智院本名義抄（1241）〕
   1. [初出の実例]「指環の箝(ハマ)った指でビイルの罎を弾きながら」(出典：青春（1905‐06）〈小栗風葉〉夏)
3. ② うまく条件に合う。適当する。あてはまる。
   1. [初出の実例]「此風によくはまりたる傾城は」(出典：評判記・色道大鏡（1678）四)
   2. 「彼は不如帰の川島武夫とか〈略〉上流の子弟とかの扮装がよくはまってゐて」(出典：女ひと（1955）〈室生犀星〉明治の暮雪)
4. ③ 心をうちこむ。意気ごむ。熱中する。
   1. [初出の実例]「殊の外かたじけなき物なる故、是よりして役儀にはまる心出来る者也」(出典：政談（1727頃）三)
5. ④ 深みへ落ちこむ。陥る。川など水のあるところにいうことが多い。
   1. [初出の実例]「さきゑもあとゑも谷ゑはまった者はさしひきならぬぞ」(出典：玉塵抄（1563）一五)
6. ⑤ 何かにかかわりあってそれから脱け出せなくなる。夢中になる。また、特に異性の魅力におぼれる。
   1. [初出の実例]「アクニ famaru(ハマル)」(出典：日葡辞書（1603‐04）)
   2. 「女に溺(ハマ)って訳もなく家蔵を潰したり」(出典：多情多恨（1896）〈尾崎紅葉〉前)
7. ⑥ ある事柄に関係したり仲間に加わったりする。
   1. [初出の実例]「素直に出るは、こりゃアコレ長兵衛が一枚はまってゐる故だと思やれ」(出典：歌舞伎・霊験曾我籬（1809）九幕)
8. ⑦ 策略にひっかかる。いっぱいくわされる。だまされる。
   1. [初出の実例]「そちは大き成うそをつき、おれをはまらした」(出典：咄本・軽口露がはなし（1691）五)

出典　精選版 日本国語大辞典