日本大百科全書(ニッポニカ) 「増村益城」の意味・わかりやすい解説
増村益城
ますむらましき
(1910―1996)
漆芸(しつげい)作家。本名成雄。熊本県益城(ましき)町田原生まれ。熊本市立商工学校漆工科卒業ののち、奈良の辻永斎(つじえいさい)に師事、1933年(昭和8)上京し赤地友哉(あかじゆうさい)に学ぶ。1938年より実在工芸美術会展、日本漆芸院、文展、日展などに出品して作家活動に入り、郷里の先輩高野松山(しょうざん)に師事する。1956年(昭和31)第2回日本伝統工芸展に初入選。1957年「乾漆盛器」で日本工芸会総裁賞、1960年「乾漆流水文盛器」で文化財保護委員長賞を受賞。1978年重要無形文化財「髹漆(きゅうしつ)」(漆塗り)の技術保持者に認定。乾漆の素地(きじ)制作を得意とした。シャープな現代的造形と、伝統的な加飾漆塗りがよく調和している。1987年10月熊本県立美術館で回顧展が開催された。1996年(平成8)4月20日腹膜炎のため死去。
[郷家忠臣]
『熊本県立美術館編・刊『増村益城展』(1987)』▽『増村益城作、柳橋眞ほか著『髹漆』(1999・アローアートワークス)』