変動為替相場制度(読み)へんどうかわせそうばせいど(その他表記)floating (flexible) exchange rate system; float

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「変動為替相場制度」の意味・わかりやすい解説

変動為替相場制度
へんどうかわせそうばせいど
floating (flexible) exchange rate system; float

変動相場制度,自由変動相場制度,フロートともいう。為替レートの決定を市場の需給実勢にゆだね,通貨当局もそれを容認している制度であり,固定為替相場制度と対比される。 1973年初めにはほとんどの主要先進国がフロートに移行している。この制度には,通貨当局がまったく介入しないクリーン・フロートから市場秩序を維持するために市場介入を行うマネージド・フロート,レート水準を意図的にコントロールするダーティー・フロートまでに分れる。この制度が導入されていた当初は,為替レートの変動は国際収支の不均衡を自動的に是正し,固定為替相場制度下ではむずかしかった国内均衡と対外均衡両立が可能となり,さらに他国でインフレが発生した場合でも,他国通貨の下落によりその影響が遮断されるというインフレ隔離効果があると期待されていた。しかし実際には,投機的な資本移動により為替レートが乱高下して経済のファンダメンタルズから乖離 (かいり) し,必ずしも対外不均衡を自動的に調整するものではないことが明らかとなり,逆に貿易の拡大を阻害するおそれも指摘されるようになった。このような観点から,近年では通貨当局が協調介入を行なってレートの変動をある一定の幅に抑えようとする局面もみられる。なお将来世界経済が安定したと認められた場合,85%の多数決により再び固定為替相場制度に復帰する可能性も残されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android