外国為替(かわせ)相場の動きが不安定である場合などに、通貨当局による外国為替市場への介入を、2か国以上で同時期に共同して実施すること。1か国が単独で介入を実施する場合よりも、介入の規模が大きくなることから、外国為替相場への影響力はより大きなものが期待される。協調介入を実施する場合、当事国による事前の打ち合わせが必要であり、G7(先進7か国財務相・中央銀行総裁会議)やG8(主要国首脳会議)などの国際会議や財務大臣会合で秘密裏に話し合われる。外国為替市場への影響力を強めるために、協調介入と同時に金融政策なども協調して行われることがある。1985年9月のプラザ合意の際にはドル売りの協調介入と同時に政策協調が行われ、アメリカが金利を引き下げ、日本や西ドイツは金利を引き上げた。これ以後しばしば協調介入が行われているが、協調介入であっても通貨当局の介入額は外国為替市場全体の取引額に比べれば小さい。介入によって、たとえば、通貨当局が考える水準を超えて変動している為替相場の安定を望んでいるといったメッセージを市場へ伝達する効果も期待されて実施されている。このように一国の為替相場について単独でなく協調して介入などが行われるのは、世界経済が深化しており、一国の為替相場の問題が世界経済の問題であるとの認識があるためである。
[吉川哲生]
『近藤健彦著『プラザ合意の研究』(1999・東洋経済新報社)』
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