日本大百科全書(ニッポニカ) 「外務省外交史料館」の意味・わかりやすい解説
外務省外交史料館
がいむしょうがいこうしりょうかん
Diplomatic Archives of the Ministry of Foreign Affairs of Japan
外務省が保管する歴史的に価値ある外交記録文書を管理し、一般の人が利用できるようにした公文書館。1971年(昭和46)4月、東京都港区麻布台(あざぶだい)に開館した。所蔵するのは幕末から第二次世界大戦後までの外交文書。幕末外交を知るうえで欠かせない幕府編纂(へんさん)の「通信全覧」、戦前外交の足跡を示す「戦前期外務省記録」のほか、沖縄返還や日米安全保障条約改定などに関する文書などがある。日米修好通商条約(1858)やベルサイユ講和条約(1919)などの条約類、リンカーン大統領から徳川家茂(いえもち)にあてた親書などが含まれている。本館閲覧室で資料を閲覧できるほか、所蔵資料の複写も可能。1988年に展示室、収蔵庫を備えた別館が増設され、2011年(平成23)には公文書管理法に基づき、特定歴史公文書等の管理施設に指定された。また「日本外交文書」(明治期、大正期、昭和戦前期は既刊)の編纂・刊行作業にもあたっている。開館時間は平日10時から17時半まで。2001年11月からは、アジア歴史資料センターを通じてインターネットによる資料公開を始めた。
[矢野 武 2017年6月20日]