大学事典 「外国語学部」の解説
外国語学部
がいこくごがくぶ
日本の大学の外国語学部は,1949年(昭和24)に東京外事専門学校と大阪外事専門学校がそれぞれ新制の東京外国語大学と大阪外国語大学になったときに誕生した。『東京外国語大学史』によれば,東京外事専門学校は1948年,単独での大学昇格を目指して,文部大臣の諮問機関である大学設置委員会(1949年6月,大学設置審議会に改称)に「外事大学設置基準案」を提出したが,「外国語は学術研究の手段であって目的ではない」という理由で却下された。再び検討を重ねた結果,Foreign Languages(外国語)だけでなくForeign Studies(外国の文化風土・政治経済など広い範囲での研究)をも目的とする基準案ができたという。1949年制定の東京外国語大学学則第1条に掲げられた「本学は,外国語大学基準に従い,外国の言語とそれを基底とする文化一般につき,理論と実際にわたり研究教授し,国際的な活動をするために必要な高い教養を与え,言語をとおして外国に関する理解を深めることを目的とする」(『東京外国語大学史 資料編2』)という文言は,その後私立大学に新設されることになる外国語学部の性格,とくに文学部との差異を規定している。外国語学部の誕生は,語学運用能力の習得や文学研究に偏りがちであった日本の外国研究の可能性を広げたといえる。2017年(平成29)現在,外国語学部をもつ国公立大学は4校である。
著者: 高田里惠子
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報