精選版 日本国語大辞典 「大向」の意味・読み・例文・類語 おお‐むこうおほむかふ【大向】 〘 名詞 〙① 劇場で、舞台から見て正面に当たる観客席後方の料金の安い立ち見の場所。一幕見の観覧席。向こう桟敷の後方にあるところからいう。また、演壇などから見た正面。[初出の実例]「屋根裏の大向(オホムカウ)は大きな船の底へでも下りたやうな心持」(出典:すみだ川(1909)〈永井荷風〉六)② 立見席の観客。この中には芝居好きの目の肥えた観客が多かったところから、転じて芝居通(つう)の人。また、一般大衆の見物人。文学などの読者や批評家などについても、比喩的にいう。[初出の実例]「広重がこの橋を画くのに〈略〉大きな亀を前景において万年の意を現はした謎々の趣向が〈略〉大向(オホムコ)ふをうれしがらせた」(出典:江戸から東京へ(1924)〈矢田挿雲〉一一) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例