大天の五事(読み)だいてんのごじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大天の五事」の意味・わかりやすい解説

大天の五事
だいてんのごじ

釈尊没後 100年頃,大天の唱えた五ヵ条の異議のこと。五事とは,次の5つをいう。余所誘──阿羅漢でも他のもの (天魔など) に誘惑されると不浄をもらすことがある。無知──阿羅漢でもまだ知らないことがある。猶予──阿羅漢でもなお疑問をいだくことがある。他令入──阿羅漢でもみずからは阿羅漢となったことを知らず,必ず他人が汝はもう阿羅漢の位に入ったと悟らせてくれて,初めて自分が阿羅漢であることを知る。道因声故起──聖なる道は「苦しいものだな」と叫ぶことによって起る。上座部の長老たちはこれを妄語としたため,五事を認める人たちが一派をなして大衆部を立てたといわれる。

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