大安寺旧境内(読み)だいあんじきゅうけいだい

国指定史跡ガイド 「大安寺旧境内」の解説

だいあんじきゅうけいだい【大安寺旧境内】


奈良県奈良市大安寺・東九条町にある寺院。指定名称は「大安寺旧境内 附石橋瓦窯跡(つけたりいしばしかわらがまあと)」。大安寺の始まりは、聖徳太子が大和川右岸に建てた精舎にさかのぼり、それを舒明(じょめい)天皇が百済(くだら)川の畔に移した百済大寺、天武天皇が天香久(あまのかぐ)山の南に移した高市大寺(大官大寺と改称)を経て、平城京遷都後に平城京に移建され、745年(天平17)に大安寺と改称された。平城京における南都七大寺の一つであり、東大寺に対して南の大寺と呼ばれ、東西の七重塔金堂から離れて南大門の南方に建つ大安寺式と称される伽藍(がらん)配置をもっていた。寺地の四至がよく旧態をとどめて、東西両塔の基壇部もよく残っていることから、1921年(大正10)に国の史跡に指定された。現在の大安寺境内は旧境内のごく一部、南大門、中門と南面回廊下あたりを占めるにすぎず、本堂も近代のものだが、木造千手観音立像、木造聖観音立像など9体の重要文化財の仏像を有している。京都府綴喜(つづき)郡井手町井出にある石橋瓦窯跡は、大安寺の創建瓦を焼成した瓦窯で文献に記録される「棚倉瓦屋(たなくらかわらや)」と推定された。奈良時代の瓦生産体制を示し、文献資料の記載を裏付けるものとして重要とされ、2006年(平成18)に石橋瓦窯跡が附として追加指定された。大安寺へは近畿日本鉄道奈良線近鉄奈良駅から奈良交通バス「大安寺」下車徒歩約7分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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