黄表紙(きびょうし)。一巻一冊。芝全交(ぜんこう)作、北尾政演(まさのぶ)(山東京伝)画。1785年(天明5)刊。題名は、大根料理の流行を反映して「大根の千六本」をもじったもので、角書(つのがき)に「御手料理/御知而已(おしるのみ)」とある。清水寺(きよみずでら)の本尊千手観音(せんじゅかんのん)が、世の中が不景気なため山師の助けを借り、千本の手を損料貸しにしてひともうけしようとする話であるが、筋(すじ)らしい筋はなく、源平合戦で右手を切り落とされた平忠度(ただのり)や無筆の男などがその手を借りて巻き起こす滑稽(こっけい)を描き、最後を坂上田村麿(さかのうえのたむらまろ)が観音の助けで千の矢を放って賊を退治する話でしめる。わずか五丁(10ページ)という異例の超短編で、新進気鋭の版元蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)が朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)、山東京伝ら当代の代表的作者を動員した企画物の一環であるが、その滑稽の才を遺憾なく発揮して全交の代表作となったばかりか、もっとも黄表紙らしい黄表紙として知られる。
[宇田敏彦]
『水野稔校注『日本古典文学大系59 黄表紙・洒落本集』(1958・岩波書店)』▽『浜田義一郎他校注『日本古典文学全集46 黄表紙・川柳・狂歌』(1971・小学館)』▽『小池正胤・宇田敏彦他編『江戸の戯作絵本 黄表紙集2』(社会思想社・現代教養文庫)』
東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...
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