大沼郡(読み)おおぬまぐん

日本歴史地名大系 「大沼郡」の解説

大沼郡
おおぬまぐん

面積:八七〇・四九平方キロ(境界未定)
新鶴にいつる村・会津本郷あいづほんごう町・会津高田あいづたかだ町・昭和しようわ村・三島みしま町・金山かねやま

県西部に位置し、郡域は東西に長楕円形を形成するが、昭和三〇年(一九五五)大沼郡西山にしやま村が河沼郡柳津やないづ町に合併して郡域を変更したため、中央部に大きな陥没部をみる。西部は高幽こうゆう(一一九二メートル)などの山岳によって南会津郡只見ただみ町と接する。北西部は越後山脈御神楽みかぐら山塊むじなもり(一三一五メートル)・御神楽岳(一三八六・五メートル)ぬまとうげ(一〇二〇メートル)など標高一〇〇〇メートル級の連峰によって新潟県東蒲原ひがしかんばら上川かみかわ村に接し、高陽こうよう(九〇四メートル)の尾根伝いにわずかに耶麻郡西会津町とも接する。三島町域の北部と東部はすべて柳津町に接し、博士はかせ(一四八二メートル)明神みようじんヶ岳(一〇七四・二メートル)を結ぶ稜線の西側はかつて大沼郡域であった旧西山村に接し、会津盆地に入って北は河沼郡会津坂下あいづばんげ町に接する。東は北流するみや(鶴沼川)によって北会津郡北会津村に接し、また阿賀川(大川)によって会津若松市に接する。南部は神籠かろうヶ岳(一三七六メートル)三引みつひき(一一四八メートル)など一〇〇〇メートル級の山地によって南会津郡下郷しもごう町・田島たじま町・南郷なんごう村に接する。東端の郡境を阿賀川が北流する。郡西部の山岳地帯は東流する只見川水系に含まれ、山入やまいり川・野尻のじり川・大谷おおたに川・滝谷たきや川はいずれも南会津郡境の山地から大小の支流を集めて北流し、只見川に合する。郡域を三分し、会津盆地に立地する会津本郷町・会津高田町新鶴村を東部、旧西山村・三島町を中部、昭和村・金山町を西部と呼称し、山間部の四町村を合せて中西部とよんだが、昭和三〇年の郡域変更後中部を失い、三島町・金山町・昭和村を西部と称する。博士山・明神ヶ岳を主峰とする会津盆地西縁山塊は大沼郡の尾根で、気象・交通上の大きな障害となり、東西地域を大きく分断する。東部三町村は肥沃な平地が多く、盆地性の気候に推移し冬季の積雪量も一メートルに達することはまれである。

交通路の開改修は早くからなされ、会津五街道の一つ下野街道は本郷・福永ふくなが関山せきやま(現会津本郷町)を通って氷玉ひだま峠越で大内おおうち宿(現下郷町)に達する。坂下(現会津坂下町)から新屋敷しんやしき(現新鶴村)、高田・市野いちの(現会津高田町)を越えて大内宿に至る下野裏街道も越後諸藩の参勤交代路に用いられるほどの大動脈であった。また若松城下から高田・かぶと(現会津高田町)を経て博士峠越で西部山地の諸郷に通じる金山郷かねやまごう街道、若松城下から下荒井しもあらい(現北会津村)逆瀬川さかせがわ(現新鶴村)を通り松坂まつざか峠を経て軽井沢かるいざわ銀山(現柳津町)に達する銀山ぎんざん街道、同じく下荒井・新屋敷を経て柳津円蔵えんぞう(現柳津町)に至る柳津街道など幹線路が東西に敷かれていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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