福島県西部,会津地方の中央にある断層盆地。東北地方の奥羽山脈西側に並ぶ盆地列の南端に位置し,越後(新潟)平野から郡山盆地にかけた東西方向の低地列とも交わっている。盆地床は南北約35km,東西最大13kmと南北に長い長方形を示すが,周辺山地は北部と南部が高く,東西方向に高い山並みが続く。盆地床の西部と東部の南半部は明神ヶ岳断層崖や吹矢山断層崖などで,南北方向の線で明瞭に周辺山地と区切られるが,東部の北半部では雄国火山麓や翁島泥流の押出しが盆地床にゆるやかに移行する。北部と南部は山麓線が複雑で,盆地の陥没性を物語っている。南会津の山岳地帯を流下した阿賀川(大川)は,盆地南東隅より大型のゆるい扇状地をつくって北流し,これに並行する湯川や鶴沼川,東方の猪苗代湖から流出する日橋(につぱし)川,盆地北部からの大塩川,田付川,濁川などの水を集め,会津坂下(ばんげ)町北西部でみごとな穿入(下刻)曲流地形を形成して流下する。これらの河川により盆地は未固結の堆積物で厚くおおわれ,阿賀川と日橋川の合流点付近では沖積層の厚さが100m以上と推定されている。またこれらの河川はしばしばはんらんを繰り返し,なかでも1536年(天文5)の白鬚(しらひげ)水と呼ばれる出水は有名で,現在の鶴沼川の流路を流れていた阿賀川が,まっすぐに北流する現流路に変わった。盆地床は標高175~250mのかなり平たんな地形であるが,阿賀川扇状地のほか山麓部に若干の扇状地と段丘を伴う。気候は裏日本型ながらも内陸性で,夏季高温になり,積雪は比較的少ない。盆地床の大部分は中世までに開拓され,その後,灌漑施設の整備に伴って開田が進み,現在県内で最も水田が集中し,単位面積当りの水稲収量も最高で,県内一の米どころとなっている。また阿賀川扇状地では野菜栽培が盛んであり,会津身知らず柿やヤクヨウニンジンの特産もある。盆地南東部の会津若松市街地が中心地であり,北部の喜多方市が副中心をなす。
執筆者:大澤 貞一郎
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福島県西部、会津地方の中北部にある盆地。東の吹矢(ふきや)山断層崖(がい)、西の会津盆地西縁断層崖に挟まった地溝を主部としている。中央の埋積地を会津平(だいら)とよび、その大部分はかつての湖沼の跡地とみられる。会津盆地西縁断層は北部と南部とに分けられているが、ともに活断層で、洪積層を切っており、阿賀川(大川)の流出口である山崎西方では段丘を刻んでいる。この段丘面がもとは会津平の平坦(へいたん)面とつながっていたはずである。東部でも山麓(さんろく)に円礫(えんれき)層をのせる緩斜面があり、活断層を暗示している。なお、2004年(平成16)に会津盆地周辺の活断層の詳細な位置を示した地図(2万5000分の1)が国土地理院から発表された。
1536年(天文5)鶴沼川(つるぬまがわ)で白髭の大水(しらひげのおおみず)といわれる洪水があり、会津美里(みさと)町以北が現流路に変わった。会津平は平坦で氾濫(はんらん)を繰り返したが、堰水(せきすい)利用で水田化が進んでいる。
[安田初雄]
…【狐塚 裕子】
[3列の山地と低地]
福島県は,ほぼ南北に並列する三つの山地と三つの低地から形成されており,全体としては山地・丘陵地が広い。山地は東から阿武隈高地,奥羽山脈と飯豊(いいで)山地・越後山脈であり,太平洋とそれらの山地の間に,東から浜通り低地帯(浜通り),中通り低地帯(中通り)および会津地方の会津盆地・田島盆地が南北に並列している。阿武隈高地は大部分が標高1000m以下の高原状地形であり,高地内には樹枝状谷が発達する。…
※「会津盆地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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