大畑貝塚(読み)おおはたかいづか

日本歴史地名大系 「大畑貝塚」の解説

大畑貝塚
おおはたかいづか

[現在地名]いわき市泉町下川 大畑

小名浜おなはま湾の南端に突き出すはつ崎の台地周辺に分布する大畑遺跡群のAからKの一一の地区のうち、貝層を伴うB・E・H地区をとくに大畑貝塚と称する。またAからF、HからK地区をすべてまとめて大畑貝塚と称する場合もある。B地区は縄文時代後期主体、E・H地区は縄文時代中期主体である。釣針や刺突具などの骨角器が多数出土している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「大畑貝塚」の意味・わかりやすい解説

大畑貝塚 (おおはたかいづか)

福島県いわき市泉町下川字大畑にある縄文時代中期から後期に営まれた外洋性貝塚。小名浜湾南端の外海に岬嘴状に突出した丘陵上に位置し,標高42m内外の北斜面に3ヵ所にわかれて貝殻積成が認められる。1970-72年に発掘調査が実施され,おびただしい遺物を検出した。B地区の最下層からは大木(だいぎ)7b式期の壮年男子の特色ある葬墓が発見され,呪術者的性格をもつ人物と推定された。貝層を構成する貝類は外湾岩礁性である。E地区と称される貝層下には〈物送り〉(熊祭)的祭祀遺構が検出され,貝塚形成の動機的意義が解明された。大畑貝塚の特徴は鹿角製漁労用具の多量出土であり,それによって縄文中期後葉には単式のU字形釣針によるカツオマダイを,後期前葉には有肩単純やV字形釣針によるマグロ,マダイなどを主体としていた捕獲生業の存在が析出された。未成品を含む百数本の釣針は,日本石器時代では屈指の数である。
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