いわき市(読み)イワキシ

デジタル大辞泉 「いわき市」の意味・読み・例文・類語

いわき‐し〔いはき‐〕【いわき市】

いわき

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日本歴史地名大系 「いわき市」の解説

いわき市
いわきし

面積:一二三一・〇五平方キロ

県南東端の海岸部に位置し、東は太平洋、北は双葉郡広野ひろの町・楢葉ならは町・川内かわうち村、西は田村郡滝根たきね町・小野おの町、石川郡平田ひらた村、東白川郡古殿ふるどの町・鮫川さめがわ村、南は茨城県北茨城市に接する。西の阿武隈高地から太平洋に向かって、北から仁井田にいだ川・夏井なつい川・藤原ふじわら川・鮫川などがほぼ東流し、その周辺に耕地・集落が連なり、東西を結ぶ交通路ともなっている。海岸線に沿い南北に通る国道六号、ほぼそれに並行するJR常磐線、夏井川に沿って北西に走る国道三九九号、平田村を抜けて郡山市に至るJR磐越東線が基幹交通路で、そのほかに国道四九号、勿来なこそから東白川郡はなわ町を結ぶ国道二八九号がある。なお常磐自動車道がいわき中央インターチェンジまで開通しており、水戸・東京との時間的距離が短縮された。江戸時代には菊多きくた郡・磐前いわさき郡・磐城郡と楢葉郡の南半部であった。菊多郡・磐前郡・磐城郡と楢葉郡の一部は明治二九年(一八九六)合併して石城いわき郡となり、楢葉郡は同年標葉しねは郡と合併して双葉郡となる。昭和四一年(一九六六)勿来市・磐城市・常磐じようばん市・内郷うちごう市・たいら市と石城郡田人たびと村・遠野とおの町・好間よしま村・三和みわ村・小川おがわ町・四倉よつくら町・川前かわまえ村、双葉郡久之浜ひさのはま町・大久おおひさ村の五市四町五村が合併していわき市が成立。市としては全国で一番広い面積をもつ。

〔原始〕

泉町下川の大畑いずみまちしもがわのおおはた遺跡からは旧石器時代の石器製作跡と考えられる遺構や石器が検出され、ほかにも標高三〇―五〇メートルの舌状台地先端近くで旧石器時代の遺物が発見されている。縄文時代の遺跡はほぼ全市域にわたり分布するが、とくに漁労を中心とした生業に特色がみられる。貝塚も多く、平鎌田の弘源寺たいらかまだのこうげんじ貝塚は現在の海岸線より五・四キロの内陸部に形成された、縄文時代前期前葉の内水域系貝塚であるが、カツオの脊椎骨と釣針が発見されている。大畑貝塚は縄文時代中期から後期の代表的貝塚で、六体の埋葬人骨や豊漁祈願の場と思われるアワビ祭祀遺構が検出されている。後晩期を代表する小名浜の寺脇おなはまのてらわき貝塚で検出された土器は後期は関東の影響が強く、晩期になると東北の影響が強くなる。多数の骨角器が出土し、とくに結合式釣針と閉窩式銛頭は寺脇式といわれる独自の形態をなしている。そのほかの貝塚として平薄磯たいらうすいその薄磯貝塚、常磐西郷じようばんにしごう町の西郷貝塚小名浜下神白の綱取おなはましもかじろのつなとり貝塚が知られる。三和町下市萱の竹之内みわまちしもいちがやのたけのうち遺跡は竹之内式土器の標式遺跡である。弥生時代に入ると沖積低地に臨む台地上に集落が形成され、台地下の谷津に水田が営まれた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「いわき市」の意味・わかりやすい解説

いわき〔市〕
いわき

福島県南東部,浜通り南部にある市。広大な阿武隈高地夏井川鮫川などのつくる沖積地を市域に含み,東は太平洋に面する。1964年新産業都市の指定を機に 1966年磐城市,内郷市,常磐市,市,勿来市の 5市と四倉町,遠野町,小川町,久之浜町の 4町および好間村,三和村,田人村,川前村大久村の 5村が合体し成立。1999年中核市に移行。行政,商業,交通,教育の中心地は平。常磐炭田の石炭,阿武隈高地の石灰石,小名浜の港を基盤とし,昔から小名浜を中心に化学,金属工業が発達し,常磐工業地域を形成(→常磐郡山工業地域)。水産加工も盛んで,遠洋漁業の基地として港湾整備も進んだ。いわき湯本温泉は観光・保養の中心地。中央部の内郷は常磐炭田の中心として,第2次世界大戦後は鉱業就業人口比率 50%以上の典型的な炭鉱町として発展したが,1976年に閉山。東部は磐城海岸県立自然公園,南部は勿来県立自然公園に属し,海水浴場としてにぎわう。阿武隈高地は夏井川渓谷県立自然公園および阿武隈高原中部県立自然公園に属する。じゃんがら念仏(→念仏踊)などの郷土芸能や願成寺白水阿弥陀堂(国宝)などが残る。JR常磐線が通り,JR磐越東線の起点。磐越自動車道東北自動車道を結ぶインターチェンジがある。2011年,東北地方太平洋沖地震に伴う津波により大きな被害を受けた。面積 1232.26km2。人口 33万2931(2020)。

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