大銭(読み)たいせん

精選版 日本国語大辞典 「大銭」の意味・読み・例文・類語

たい‐せん【大銭】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、宝永五年(一七〇八)に発行された宝永通宝十文銭の俗称。従来銭貨である寛永通宝一文銭に対していう。この十文銭は一年あまりで通用を禁止され、銭貨はすべてまた一文銭だけになったが、明和五年(一七六八)に寛永通宝の四文銭が発行されるに至り、一部で、この四文銭のことを呼んだ例もある。
    1. [初出の実例]「覚 一今度京都銭座にて大銭出来候」(出典:御触書寛保集成‐三三・宝永五年(1708)閏正月)

おお‐ぜにおほ‥【大銭】

  1. 〘 名詞 〙 近世一枚が一文銭何枚かに相当する貨幣の俗称。おおせん。
    1. [初出の実例]「『二本とられた事よ』『四文銭(オオゼニ)でか』」(出典洒落本甲駅新話(1775))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の大銭の言及

【宝永通宝】より

…宝永期には幣制の混乱がはなはだしく,銅貨が払底し,そのため両替屋らは不当な利益を得る状態となっていたので,江戸幕府は宝永通宝の鋳造を命じた。ところが,10文通用の大銭に人々は不慣れであり,世評はよくなかったので,翌年1月にはその通用を停止した。【作道 洋太郎】。…

※「大銭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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