天明の打毀(読み)てんめいのうちこわし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天明の打毀」の意味・わかりやすい解説

天明の打毀
てんめいのうちこわし

江戸時代の天明年間(1781~89)に勃発(ぼっぱつ)した都市騒擾(そうじょう)。この期は、江戸時代を通じて一揆(いっき)・打毀激化・高揚した時期の一つである。天明期の都市騒動件数107件中、69件が打毀であり、残りの大半の件数も打毀未遂分。なかでも1783年(天明3)には17件、87年には44件(ほとんどが同年5~6月に集中)の打毀(未遂も含む)を数え、いずれも天明の飢饉(ききん)による米価暴騰に起因した米一揆=米騒動としての性格を帯びていた点が特徴的である。とくに87年5月には江戸、京都(不穏)、大坂をはじめ、長崎から岩槻(いわつき)(埼玉県さいたま市)までの九州~関東に及ぶ諸都市(城下町港町宿場町門前町)に発生した。各地ともいずれも町方の下層民が、闘争の主体勢力となった。

山田忠雄

『佐々木潤之介編『百姓一揆と打ちこわし』(『日本民衆の歴史4』1974・三省堂)』

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