天明絹一揆(読み)てんめいきぬいっき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天明絹一揆」の意味・わかりやすい解説

天明絹一揆
てんめいきぬいっき

1781年(天明1)8月、上州(群馬県)に起こった絹糸貫目改所(あらためどころ)設立反対一揆。同年7月、幕府生糸や絹などの取引の円滑化を計るという名目で、上州・武州(埼玉県)両国に改所を10か所設立してその規格を検査し、改料を商人から徴収するという触書(ふれがき)を村々に回した。これを受けた農民は、改料は運上(うんじょう)であり、またそれだけ販売価格が下落すると主張して反対運動を起こした。桐生(きりゅう)を中心とする東上州農民はただちに運上反対を幕府に訴え、商人は市場での商品買い入れを一時停止した。最大の運上負担者となる西上州農民は、8月2日の藤岡町寄合をきっかけにして、改所設立に賛成する商人の家数十軒を打毀(うちこわ)した。そしてこの計画の推進者といわれる老中松平輝高(てるたか)の居城高崎城を包囲し、気勢をあげたので、高崎藩鉄砲を打って農民を撃退した。8月17日、改所設立を撤回する旨を記した触書が村々を回り、この闘争は農民側の全面的勝利に終わった。

中島 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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