天草版(読み)アマクサバン

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精選版 日本国語大辞典 「天草版」の意味・読み・例文・類語

あまくさ‐ばん【天草版】

  1. 〘 名詞 〙 近世初期、イエズス会の人々によって、天正一八年(一五九〇)から慶長一九年(一六一四)までの間に熊本県天草島で出版された活字本。キリシタン版。「どちりなきりしたん」「平家物語」「伊曾保物語」「金句集」「羅葡日辞書」「羅典文典」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「天草版」の意味・わかりやすい解説

天草版 (あまくさばん)

キリシタン版のうち九州の天草学林で出版されたもの。1592年(文禄1)から96年(慶長1)に至る。キリシタン版は最初1591年,肥前国の加津佐(かづさ)で出版されたが,まもなく印刷所は天草に移された。主としてローマ字版で,国字版は《ばうちずもの授けやう》(1593刊か)1種のみが天草版と推定される。1592年刊の《どちりなきりしたん》《ヒデスの導師》,《平家物語》(口訳)がもっとも早い刊行書である。その後,《いそほのはぶらす(伊曾保物語)》《金句集》,アルバレス編《ラテン語文典》,《羅葡(らぽ)日対訳辞典》,《コンテムツス・ムンヂ》(推定天草版),イグナティウス・デ・ロヨラ著《心霊修行》,バルトロメウ著《精神修養提要》(推定天草版)が刊行された。のち1598年ころ,印刷所は長崎学林に移された。
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旺文社日本史事典 三訂版 「天草版」の解説

天草版
あまくさばん

安土桃山時代から江戸初期にかけて出版された活字印刷本の一つ
キリシタン版ともいう。『伊曽保物語』『平家物語』『どちりな・きりしたん』『ぎあ・ど・ぺかどる』などが有名。多くはキリスト教教義書。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天草版」の意味・わかりやすい解説

天草版
あまくさばん

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