伊曽保物語(読み)イソホモノガタリ

デジタル大辞泉の解説

《原題Esopo no Fabulas》「イソップ物語」をポルトガル語から室町末期の口語に訳し、ローマ字で表記、行した本。70話。宣教師ハビアン訳。文禄2年(1593)、天草で出版。天草本伊曽保物語とよばれる。
仮名草子の一。「イソップ物語」の翻訳。訳者未詳。文語体で漢字平仮名交じり表記。無刊記古活字版や寛永16年(1639)刊記の古活字版、さらに万治2年(1659)刊の絵入り整版本などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仮名草子。欧米で広く親しまれている『イソップ物語』の翻訳であるが、訳者不詳。『イソップ』がいつわが国に持ち込まれたかは不明であるが、16世紀の下半期にキリスト教の東洋伝播(でんぱ)とともに、その説教用の補助的教訓本として輸入されたものとみられる。『イソップ』の口語訳ローマ字本は1593年(文禄2)に天草のキリシタン学寮から出版され、訳者は日本人イルマンのハビアンであったという。本書はこれとは別系統で直接の関係は認めがたい。天草版には70話、本書には64話があるが、共通の話は25話で、それも内容文章に差がある。本書は広く読まれ、慶長(けいちょう)~寛永(かんえい)年間(1596~1644)に刊行の古活字版9種と1659年(万治2)刊の挿絵入りの整版2種および写本がある。当時の厳しいキリシタン禁制下にあって本書が盛んに読まれたのは、内容が教義とは無関係な寓話(ぐうわ)的教訓性によるものと思われる。後の教訓物仮名草子に大きな影響を与えた。[坂巻甲太]
『前田金五郎・森田武校注『日本古典文学大系90 仮名草子集』(1965・岩波書店)』

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

安土桃山時代,天草版の一つ。『イソップ物語』の翻訳
『天草本伊曽保物語』と称せられる。1593年,ローマ字綴りで訳され,口語体の軽妙な文体は文学史上重要な意味をもつと同時に,当時の国語研究に不可欠である。西洋古典文学邦訳の最初

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