日本大百科全書(ニッポニカ) 「太陽視差」の意味・わかりやすい解説
太陽視差
たいようしさ
太陽は他の恒星に比べると地球のきわめて近くにある。そのため地球表面の1点Aから見た太陽(厳密にはその中心S)の方向は、見る地点によりわずかだが異なる。ゆえに便宜上地球中心Cから見た方向を基準とし、それとのずれ(∠ASC)をA地点で見た太陽視差という。さらに便宜上A点で太陽を地平線に見た視差を太陽の地平視差、さらに(地球は南北にやや平たく赤道半径が最大なので)赤道上で見た地平視差を赤道地平視差という。地球の軌道は太陽を焦点とする楕円(だえん)なので、年間で地球が太陽に近づくと赤道地平視差は大きくなり(1月初めごろ極大)、遠ざかると小さくなる(7月初めごろ極小)。太陽までの距離をR、地球赤道半径をa(6378.137キロメートル)、赤道地平視差をpとすると、R=a/sinpが成り立つ。pの年間平均は約8.794秒角とされている(1秒は円周=360度の129万6000分の1、直角=90度の32万4000分の1の角度)。
[大脇直明]
『ロジャー・B・カルバー著、長谷川俊雄訳『実験天文学ワークブック』(1988・恒星社厚生閣)』▽『長沢工著『日の出・日の入りの計算――天体の出没時刻の求め方』(1999・地人書館)』