日本大百科全書(ニッポニカ) 「奄美群島振興開発基金」の意味・わかりやすい解説
奄美群島振興開発基金
あまみぐんとうしんこうかいはつききん
奄美群島(奄美諸島)の振興開発のための事業に資金を供給する、財務省と国土交通省とが所管する独立行政法人。英語名はFund for the Promotion and Development of the Amami Islands。奄美基金と略称される。奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)に基づいて1955年(昭和30)に設立された。本部は鹿児島県奄美市名瀬港町(なぜみなとまち)。徳之島と沖永良部島(おきのえらぶじま)に事務所がある。
1953年、奄美群島の本土復帰に伴い、国は奄美群島振興開発特別措置法を施行して奄美群島の振興開発を図ることとした。その資金面を担う機関として1955年9月、奄美群島復興信用保証協会が設立され、債務保証業務を開始。1959年、融資業務を追加し、奄美群島復興信用基金と改称した。さらに1964年、奄美群島振興信用基金、1974年、奄美群島振興開発基金と改称し、2004年(平成16)10月、独立行政法人となった。奄美群島振興開発特別措置法では、国は、奄美群島の振興開発を図るために「奄美群島振興開発基本方針」を定めることとし、鹿児島県は基本方針に基づいた「奄美群島振興開発計画」を定めなければならないとしている。奄美群島振興開発基金はその振興開発計画に基づく事業に必要な資金を供給する機関と位置づけられており、奄美地方で事業を行う中小規模の事業者が銀行などの金融機関から借り入れを行う際の債務保証や事業資金の貸し付けを行っている。
保証業務は、(1)原則として保証対象に拒絶業種を定めない「一般保証」、(2)台風などの激甚災害等が発生した場合の「激甚災害等保証」、(3)鹿児島県および大島郡瀬戸内町独自の融資制度に基づいた「制度保証」の3種がある。貸付業務には、地域の特性を生かした産業に対し、長期低利資金の貸し付けを行う「長期資金」と、事業者が運転資金として必要とする1年以内の短期運転資金の貸し付けを行う「短期資金」がある。長期資金には産業別に(1)農・林業振興資金、(2)水産業振興資金、(3)観光関連産業振興資金、(4)製糖企業合理化資金、(5)流通・加工業等振興資金、(6)地域資源等振興資金、(7)地域活性化・雇用促進資金の7種がある。2012年度の融資実績は、貸付額14億5200万円、貸付残高64億2800万円。2013年3月末時点での資本金は167億7177万円、職員数は19人。
[編集部]