奈良梨村(読み)ならなしむら

日本歴史地名大系 「奈良梨村」の解説

奈良梨村
ならなしむら

[現在地名]小川町奈良梨

上横田かみよこた村の北、市野いちの川の右岸に位置し、西は能増のうます村・伊勢根いせね村。松山まつやま領に属した(風土記稿)。中世には鎌倉街道(上道)が通る交通の要衝で、戦国期、小田原北条氏支配の時代には伝馬が置かれ西の高見たかみ、東の須賀谷すがや(菅谷、現嵐山町)との間を継立てた。正安三年(一三〇一)に成立したという「宴曲抄」には鎌倉から信濃善光寺に至る地名を詠込んだ歌謡が収められているが、この歌謡に「秋風はげし吹上の、梢もさびしくならぬ(奈良)梨、打渡す早瀬に駒やなづむらん」云々とあり、当地が鎌倉街道上道に沿った交通の要衝であったことがうかがえる。永享一〇年(一四三八)六月日の年紀がある鰐口(武蔵史料銘記集)には「奉施入鰐口一口武州比企郡北方馬谷郷内奈良梨宿十王堂」との銘文があったという。また天文一六年(一五四七)一一月一九日に武蔵府中の六所ろくしよ宮の祭事に参集すべき人数などを書上げた覚書(写、野々宮神社文書)のなかに「五番ならぬなし大源殿」とみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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