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伝馬 てんま

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

伝馬
てんま

江戸時代,諸街道の宿駅に常備され,公用の人や荷物の継ぎ送りにあたった馬をいう。古代の駅制にも伝馬の制があったが,その後廃絶した。戦国時代,諸大名は軍事的必要から領国に宿駅を設置し伝馬を常置したが,制度的に確立したのは江戸時代である。

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デジタル大辞泉の解説

てん‐ま【伝馬】

逓送用の馬。律令制では、駅馬とは別に各郡に5頭ずつ常置して公用にあてた。戦国時代、諸大名は主要道路の宿駅に常備して公用にあて、江戸時代には、幕府が主要街道に設け、また、一般人が利用できるものもあった。
伝馬船」の略。

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百科事典マイペディアの解説

伝馬【てんま】

前近代に宿駅間を往復した逓送(ていそう)用の馬。律令制では郡ごとの郡家(ぐうけ)に5疋常備された官馬。駅馬(えきば)に対して急を要しない公用に供された。国家が駅馬を重視したため,律令時代には早くから衰退。
→関連項目駅伝郡家駄賃稼中馬町人伝馬町問丸問屋場夫役

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世界大百科事典 第2版の解説

てんま【伝馬】

前近代に宿駅の間を往復し旅行者や貨物を逓送した馬。
[古代]
 日本古代の駅伝制では,中央の兵部(ひようぶ)省の所管で緊急の公務出張や公文書伝送にのみ使われた駅馬のほかに,全国各郡の郡家(ぐうけ)に5疋(ひき)ずつの伝馬を用意し,国司の赴任や国内巡視などに使うことにしていた。この伝馬は,官営の牧場で繁殖させ,軍団の兵士の戸で飼育させる官馬の中から選ぶが,適当な官馬がなければ郡稲という財源で民間から購入し,郡家付近の豊かで人手のある戸に飼育させる。

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大辞林 第三版の解説

てんま【伝馬】

逓送用の馬。律令制では、各郡におき官吏の公用に供した。平安時代以降、制度は乱れたが、江戸幕府はこれを整備し、主要幹線路の宿駅ごとに一定数、常備させて公用にあてた。
「伝馬船」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

伝馬
てんま

道中の各駅・宿などに備えて公用輸送にあてた馬。大化改新(645)により国府と郡家を連絡するため、各郡家に伝馬という官馬が用意され、その員数は毎郡各5とされた。利用者は格別の規定はないが国司、流人、防人(さきもり)などであり、乗用資格証明は伝符による。伝馬は官馬から選ぶが、民間から購入する場合には郡稲(ぐんとう)による。これに対し、諸道の駅家に備えて駅使の乗用に供した馬が駅馬である。
 平安時代には衰微したが、中世荘園(しょうえん)でふたたび伝馬が頻出する。これは、荘園領主、地頭が交通上から農民に徴課した馬をさす。戦国時代には戦国大名、とくに東国の後北条(ごほうじょう)、武田、上杉、徳川の諸氏による駅制が実施され、宿では問屋が伝馬営業を行った。この伝馬は、軍需物資の輸送、飛脚、家臣の逓送にあたった。伝馬の継立(つぎたて)には一定書式の手形が発行されたが、しだいに専用のものとなった。すなわち後北条氏の虎(とら)の印判、「常調」の二字の上に馬をあしらった印判、武田氏の丸竜の朱印、「伝馬」「船」の印判がある。江戸幕府は1601年(慶長6)に公用の書札、荷物の逓送のため東海道各宿に伝馬制度を設定した。徳川家康は「伝馬之調」の印判、ついで駒牽(こまひき)朱印、07年から「伝馬無相違(そういなく) 可出(いだすべき)者也」の9字を3行にして縦に二分した朱印を使用し、この御朱印のほかに御証文による場合もある。伝馬役には馬役と歩行(かち)役(人足役)とがあり、東海道およびその他の五街道にもおのおの規定ができた。
 伝馬は使用される際には無賃か、御定(おさだめ)賃銭のため、宿には代償として各種の保護が与えられたが、一部民間物資の輸送も営業として認めた。伝馬制度は前述のとおり公用のためのものであったから、一般物資の輸送は街道では後回しにされた。武士の場合でも幕臣が優先されている。民間の運送業者、たとえば中馬(ちゅうま)などが成立して伝馬以外の手段が私用にあたった。1872年(明治5)に各街道の伝馬所、助郷(すけごう)が廃止された。[藤村潤一郎]
『豊田武・児玉幸多編『交通史』(『体系日本史叢書24』1970・山川出版社) ▽児玉幸多著『近世宿駅制度の研究』(1960・吉川弘文館) ▽丸山雍成著『近世宿駅の基礎的研究 一、二』(1975・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の伝馬の言及

【宿駅】より

… 律令制の崩壊とともに駅制も崩れ,代わって荘園や寺院の施設が休泊に利用されるようになった。そして平安末期ごろから宿が駅に代わって用いられ始め,駅馬よりも伝馬の称呼が使われるようになった。熊野路に信達,藤代,山中などの宿名が現れるが,まだ十分な施設はなく,神崎川に臨んだ摂津の江口,神崎,蟹島などが水陸の旅行者を集めて繁栄していた。…

【伝符】より

…古代中国では駅と伝に制度上の区別はなく,みな伝符を提示して駅に備えつけの車馬を利用した。しかし古代日本では朝廷直轄の駅馬は駅鈴を提示して利用することにしていたので,律令制により新たに郡司の馬を利用する伝馬の制度を設けたさいには,唐にならって伝符をその利用資格の証明とした。唐の伝符は銅製で竜などの形をしていたというが,日本のばあい当初の形は不明であり,やがて他の公文書と同様に紙券になったと思われる。…

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