日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥村利信」の意味・わかりやすい解説
奥村利信
おくむらとしのぶ
生没年未詳。江戸中期の浮世絵師。奥村政信(まさのぶ)の門人で、1710年代後半から1740年代(享保(きょうほう)~寛延(かんえん)年間)にかけて活躍。紅絵(べにえ)、漆絵(うるしえ)期の代表的絵師。画風は師の政信を追ってはいるが、溌剌(はつらつ)とした生気があり、柔和な量感に富む。描写も細やかで適度に色香も含ませ、しばしば師を超える作品を残している。美人画、役者絵を中心に、作画は1730年前後の十数年に集中、短命の絵師であったと思われる。代表作は『山下金作の大磯(おおいそ)とら』『瀬川菊之丞(きくのじょう)のくずのは道行(みちゆき)』『なつもやうむねあけ三幅対(さんぷくつい)』など。
[浅野秀剛]