奥村利信(読み)おくむらとしのぶ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥村利信」の意味・わかりやすい解説

奥村利信
おくむらとしのぶ

生没年未詳。江戸中期の浮世絵師奥村政信(まさのぶ)の門人で、1710年代後半から1740年代(享保(きょうほう)~寛延(かんえん)年間)にかけて活躍。紅絵(べにえ)、漆絵(うるしえ)期の代表的絵師画風は師の政信を追ってはいるが、溌剌(はつらつ)とした生気があり、柔和な量感に富む。描写も細やかで適度に色香も含ませ、しばしば師を超える作品を残している。美人画、役者絵を中心に、作画は1730年前後の十数年に集中、短命の絵師であったと思われる。代表作は『山下金作大磯(おおいそ)とら』『瀬川菊之丞(きくのじょう)のくずのは道行(みちゆき)』『なつもやうむねあけ三幅対(さんぷくつい)』など。

[浅野秀剛]


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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「奥村利信」の解説

奥村利信 おくむら-としのぶ

?-? 江戸時代中期の浮世絵師。
享保(きょうほう)-寛延(1716-51)のころの人。奥村政信の門弟といわれ,漆絵(うるしえ)の作品がおおく,美人画を得意とした。赤本,黒本,青本等に挿絵をかく。寛延のころには「作奴化物退治」3巻をえがいている。江戸出身。通称は文志。号は文全,鶴月堂。

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世界大百科事典(旧版)内の奥村利信の言及

【奥村政信】より

…肉筆画にも優れ,《小倉山荘図》(東京国立博物館)などがある。門人に奥村利信(生没年不詳)がおり,享保から寛延(1716‐51)にかけて紅絵や漆絵の美人画・役者絵を多く描いた。柔らかな線と鮮やかな配色によって,優美艶麗の度は時に師をしのぐものさえあり,近年とみに評価が高い。…

※「奥村利信」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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