女護ヶ島(読み)にょごがしま

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「女護ヶ島」の意味・わかりやすい解説

女護ヶ島
にょごがしま

女護の島とも,女人国ともいい,女だけが住んでいるという空想上の島,またはその伝説をいう。西洋にも東洋にも同類の話があるが,日本では八丈島や沖縄の与那国島奄美群島喜界島など,実在の島をこれにあてた話が普及している。『御伽草子』の「御曹子島渡」には,義経が女護ヶ島に渡ったことになっており,この島の女は南風を身に受けて身ごもり,また女子ばかりが生れると述べている。曲亭馬琴の『椿説弓張月』では男は鬼ヶ島,女は女護ヶ島に分れて住んでいて,1年に1度だけ男が女の島へ渡って契りを結び,生れた男児は鬼ヶ島,女児は女護ヶ島に残す習俗があるとしている。これらの島々では,昔,よそから船が着くと,島の女たちが自分のつくった草履浜辺に並べておき,その草履をはいた男と契りを結ぶ習俗があったらしく,これらの話に文学的な脚色を加えてできた話である。

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