家庭医学館 「好酸球性肉芽腫」の解説
こうさんきゅうせいにくげしゅ【好酸球性肉芽腫 Eosinophilic Granuloma】
骨腫瘍(こつしゅよう)によく似た病気(骨腫瘍類似疾患(こつしゅようるいじしっかん))の1つです。
骨に単発性、ときには多発性の骨破壊(こつはかい)がおこる病気で、痛みをもって発症します。
原因は不明ですが、組織をとって検査すると、組織球と呼ばれる細胞や白血球(はっけっきゅう)、とくに好酸球が出現しているのがわかります。
よくおこる部位は、大腿骨(だいたいこつ)(ももの太い骨)や上腕骨(じょうわんこつ)などの長管骨(ちょうかんこつ)(大きくて長い管状の骨)です。
そのほか、鎖骨(さこつ)、骨盤(こつばん)、脊椎(せきつい)などにもおこります。
脊椎に発症した場合は、脊椎がもろくなるために、しばしばつぶれて扁平(へんぺい)になります。これはカルベ扁平椎(へんぺいつい)と呼ばれます。
10歳未満の子どもに多くみられる病気です。
[治療]
治療としては、骨破壊がおこっている部位をかきとる(掻爬(そうは))、ステロイド薬(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬)を使用する、あるいは少量の放射線を患部に照射するといった方法が行なわれます。
この病気は良性で、生命に対する危険性はありません。
しかし、この病気と類似しているレッテレル・ジーベ病は、死亡率の高い病気です。
また、同じような病気であるハンド・シューラー・クリスチャン病も治りにくい病気です。
したがって、これらの病気とまちがえないように、診断には、十分な注意が必要です。