産婦人科領域でもっとも多く行われている手術の術式で、子宮内膜掻爬と子宮内膜組織診がある。両者はまったく同じ術式であるが、子宮内膜掻爬は治療の、子宮内膜組織診は診断の目的で行われる。
女性の生理現象である月経は、子宮内膜の剥離(はくり)と増殖を周期的に繰り返すわけで、これによっても子宮内膜がほかの臓器粘膜に比べて強い再生能をもっていることがわかる。掻爬はこの強い再生能を利用して行われる術式である。
[新井正夫]
子宮腔(くう)内の清掃と月経周期の再現性を基本目的とする手術で、子宮腔からの異常出血を適応としている。ただし、子宮内膜癌(がん)や絨毛(じゅうもう)癌など悪性内膜疾患、粘膜下筋腫(きんしゅ)や筋腫ポリープなど子宮壁内に腫瘍(しゅよう)がある場合、子宮に炎症性変化が認められる場合には、掻爬によって疾患が悪化したり大量出血をおこすことがあるので、とくに慎重に行う必要がある。
なお、人工妊娠中絶術として行われる子宮内容掻爬は俗に掻爬とよばれているが、子宮内膜掻爬とはまったく別の術式である。
[新井正夫]
子宮内膜の病変を病理組織学的に調べるため、日常的に行われている検査の一つである。内診で骨盤臓器に異常が認められないのに子宮出血がある場合、器質的疾患とは別に内膜の悪性変化が子宮出血の原因と推定される場合、子宮内膜機能に異常が認められる場合などに行われる。また、治療目的で行った子宮内膜掻爬の術後にも、子宮内容の組織検査を行うことが望まれる。
[新井正夫]
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