つい
①
時間、
距離、
数量などが、ほんのわずかであるさまを表わす語。すぐ。じきに。簡単に。ちょっと。「ついさっき」「つい鼻の先」など。
※
仮名草子・
仁勢物語(1639‐40頃)上「三吉野の頼もし金
(がね)をつい取り返へす」
※
洒落本・粋好伝夢枕(1829)「ツイ弐歩つつ貰ても五人あれは弐両弐歩有」
※母を恋ふる記(1919)〈
谷崎潤一郎〉「つい此の間も見た事があった」
② 意図しないでそうなってしまうさま、不本意ながらその
動作をしてしまうさまを表わす語。うっかり。思わず知らず。何の気なしに。
※
俳諧・新続犬筑波集(1660)一〇「法の場にや
こけのはへたる ひさしくてせめぬる駒はついすべり〈
貞徳〉」
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈
夏目漱石〉二「源ちゃん昨夕は━つい忙がしかったもんだから」
つい
〘接頭〙 (
動詞「つく(突)」の
連用形「つき」の変化したもの) 下に続く動詞の表わす動作を強めたり、瞬間性を強調したりするのに用いる。
※
落窪(10C後)一「手づからついさして、錠強くさしていぬ」
※
平家(13C前)四「あがる矢をばつゐくぐり、さがる矢をばおどりこえ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「つい」の意味・読み・例文・類語
つい[接頭]
[接頭]《動詞「つ(突)く」の連用形のイ音便形から》動詞の連用形に付いて、その動詞の表す動作・作用を強める意を表す。「ついくぐる」「ついつくばう」
「手づから―さして、錠強くさしていぬ」〈落窪・一〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例