子どもオンブズパーソン(読み)こどもおんぶずぱーそん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「子どもオンブズパーソン」の意味・わかりやすい解説

子どもオンブズパーソン
こどもおんぶずぱーそん

子供の権利利益が守られているかどうかを監視し、子供の代弁者として活動する機関の総称子どもコミッショナーともいう。1981年にノルウェーで法的な権限を有する国家機関として制度化された。その後、ヨーロッパ諸国で制度化が検討され、1989年に国連総会で子どもの権利条約が採択されたことを契機に世界的に広がった。国連の子ども権利委員会が設置を奨励しており、子どもの権利条約を批准した194の国と地域で組織の設置が推進されている。基本的な行動規範は、子どもの権利条約で規定された権利を保護することである。国により組織形態は異なるが、多くは医療や福祉、教育などの分野から集まった専門家で構成される委員会形式をとり、政府から独立した国家機関として設置されている。また、国会への法律の改正案提出をはじめ、子供に関する相談や事件の調査を直接行う法的権限を認めている国が多い。子ども議会や公開討論会などを主催し、子供の社会参加を進めるためのさまざまな活動を行っている。

 日本は1994年(平成6)に子どもの権利条約を批准しており、子どもの権利基本法制定などを実現するように勧告を受けている。しかし、具体的な施策はとられておらず、自治体外郭団体や、市民運動として組織が各地に設置され、限られた権限のなかで活動を展開している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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