孕・妊・胎(読み)はらむ

精選版 日本国語大辞典 「孕・妊・胎」の意味・読み・例文・類語

はら・む【孕・妊・胎】

(「腹」の動詞化したもの)
[1] 〘自マ五(四)〙
胎内に子がやどる。みもちになる。妊娠する。
書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「何ぞ能く、一夜の間(から)に人(ひと)をして有娠(ハラマ)せむや」
② 穂が出ようとしてふくらむ。穂ばらみする。
蜻蛉(974頃)中「あまた若苗の生ひたりしをとりあつめさせて、屋の軒にあててうゑさせしが、いとをかしうはらみて」
③ ふくらむ。ひろがる。
※彼女と少年(1917)〈徳田秋声〉五「幾江の心には、次第に不安が孕(ハラ)んで来た」
年貢がとどこおる。滞納する。
※東寺百合文書‐ち・永享一〇年(1438)二十一口方評定引付「八条猪熊院領有之百姓、孕地子家、令逐電了」
[2] 〘他マ五(四)〙
① 胎内に子をやどす。みごもる。
※大日経義釈延久承保点(1074)一三「我已に王の胤を懐(ハラメリ)
② 内部に含みもつ。中に隠しもつ。内部に蔵したためにふくらむ。含む。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「王の婦此を領(ハラメ)ることありて」
真理の春(1930)〈細田民樹〉森井コンツェルン「この狐と狸は提携しながら、同時に強敵として戦はねばならない矛盾を孕(ハラ)んでゐる」
国土国民をその中に生存させる。養う。生む。
平家(13C前)一一王地にはらまれて詔命をそむくべきにあらねば」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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